インバウンド需要で活況を迎えホテルの出店やリニューアルが増加

 2008年のリーマンショックや11年の東日本大震災の影響から、長らく低迷が続いてきたホテル・旅館業界。ここにきて震災からの復興が進んだことに加え、景気の回復傾向を受け、再び活況を迎えている。国内観光需要の復調だけでなく、国策として取り組んできた海外誘致や円安傾向により、海外からの訪日外国人観光客が増大。「爆買い」という言葉が流行語大賞に選ばれるほど、観光業だけにとどまらない盛り上がりを見せている。

 国内外の旅行者の宿泊需要は増大しているものの、施設数はホテルと旅館で状況が異なる。厚生労働省「衛生行政報告例」によると、14年度末のホテルの営業施設数は9,879軒で、2年前の9,796軒より83軒増加(0.8%増)した。東京、大阪、京都、またリゾート地では外資系高級ホテルの出店ラッシュが起きており、それに対抗するように国内資本ホテルも新規出店に加えて主力ホテルをリニューアルしている。急速に店舗網を拡大してきた宿泊特化型のビジネスホテルにおいても、一時出店を控えていたものの、近年のホテル市場の復調を受けて、アッパーミドルクラスを中心に出店を再度積極化させている。

 その一方、施設数が圧倒的に多い旅館は41,899軒と、2年前の44,744軒より2,845軒減少(6.4%減)と減少傾向になっている。旅館の減少はホテルの増加を大幅に上回っており、ホテル・旅館を合わせた宿泊施設全体で見ると、施設数は減少傾向にあることが分かる。

 宿泊は好調に推移しているものの、婚礼・宴会部門や飲食(レストラン)部門の回復は遅れている。宴会は企業のコスト削減や個人消費の節約対象となりやすく、また婚礼は婚姻数の減少に加えてゲストハウスウェディングなどとの競合により受注が減少していると見られている。このため、新規出店するホテルの大半は、宴会場やレストランを最低限に絞った宿泊部門主体の宿泊特化型ホテルとなっている。