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[介護業界のM&A]大胆な報酬改定の影響は?

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要介護(要支援)認定者数は、2016 年3月末時点で620万人を超え、介護費用は10兆円に迫ろうとしている。高齢化の進展で今後も利用者数の増加は必至であり、2025 年の介護費用は20 兆円を超えるとの予想もある。

介護業界の動向 - 解消されない人材不足

市場拡大が続く介護業界だが、今後の課題は介護職員の人材不足だ。低賃金や過酷な労働環境が指摘される介護業界は、景気が良くなり売り手市場になると、一気に人材確保が困難となる。

現在、全国の特別養護老人ホームの待機老人は50 万人とも言われるが、施設はつくれても職員が不足しているために、この溝はなかなか埋まりそうにない。政府は「介護離職ゼロ」を打ち出し、離職した介護職員の再就職支援・介護福祉士を目指す学生への支援に261 億円、中高年を対象とする介護職の入門研修などに約180 億円、介護ロボットやICT 導入による人的負荷軽減に約60 億円の予算を確保しているが、人材確保が進むかどうかは不透明だ。

特に中小・中堅クラスの介護事業者は、人材不足や過当競争による業績悪化が目立っており、今後、再編・統合が進む可能性が高い。一方、近隣の同業他社よりも給与水準を良くし、研修などのスキルアップ支援を積極的に行っている介護事業者は、安定して職員を確保できている。

また、定期的な個別面談によりメンタルケアを行ったり、職場トラブルを未然に防ぐといった労働環境改善による離職対策をとる事業者も増えてきた。有能な人材を安定して確保するには、給与をはじめとした処遇改善、労働環境の整備が急務と言える。

2018年の報酬改定もまた、課題となりそうだ。国は社会福祉費削減を旗印に大胆な報酬改定を予定しているが、この改定は2015年改定と同様に、中小・中堅事業者の経営にマイナスの影響を与えると考えられるため、今後の動向には十分な注視が必要である。

介護事業所における介護従業員の過不足(%)
M&A情報誌SMART vol.24より

介護業界のM&A動向 - 異業種の参入などにより激動する業界地図

M&Aニーズにも変化が

介護業界における近年の最大のトピックスは、SOMPOホールディングス<8630>(東京)が業界第3位の売上高を誇る有料老人ホーム大手のメッセージ(岡山)を、2016 年3月にTOBで連結子会社化したことだ。同社は、15 年12 月にも業界第7位のワタミの介護(東京)を買収し、SOMPOケアネクスト(東京)を設立するなど、相次ぐM&Aにより、介護業界大手の一角に名を連ねる存在となった。今後も介護事業を成長戦略の重要な柱と位置付け、積極的にM&Aを仕掛けてくると予想される。

綜合警備保障[ALSOK]<2331>(東京)も、14 年に訪問介護事業のあんていけあ(東京)などを買収し、介護業界に進出。15年にも介護事業者を買収し、業界第10 位まで規模を拡大している。

一方で、アミューズメント施設を運営するアドアーズ(東京)は、14 年11 月に日本介護福祉グループを買収し介護事業に参入したが、わずか9ヵ月後の15 年8月、日本介護福祉グループの創業者である藤田英明氏に全株式を5,000 万円で売却、介護事業から撤退した。アドアーズによると、取得後に公正妥当な会計基準で決算を行ったところ、デューデリジェンスで想定した金額を超え、大幅な債務超過に至ったという。

アドアーズは、契約時の表明保証に関する違反があったとして藤田氏を提訴した。異業種からの参入組が増える中、この一件は新規参入を目指す企業にとって貴重なケーススタディとなるかもしれない。居宅系介護施設の新規開設物件は、年々大型化が進んでおり、それに伴いM&Aニーズも40 ~50 床以上の譲渡案件に人気が集中している。

また、買収ニーズが首都圏や関西圏に集中する一方で、譲渡ニーズは地方の中小介護事業者が多く、需給ギャップが生じている。地方の譲渡案件は、地元の医療法人や介護事業者による買収が大半で、規模は小さいものの件数は増加している。

2018年の大改定により、さらなる介護報酬の削減が予想されているため、各社生き残りをかけたM&Aの動きが活発化してくると思われる。

M&A情報誌「SMART 2017年秋号」の記事を基に再構成しております
まとめ:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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