地元企業のマツダが親会社

1968年にようやく親会社が決まる。地元企業の東洋工業(現・マツダ<7261>)だ。同社3代目社長だった松田恒次社長が筆頭株主となり、カープのオーナーに就任、息子の松田耕平氏(マツダ4代目社長)もオーナー代行に就く。チーム名も「広島東洋カープ」に改称した。後に松田家はマツダの経営から離れるが、耕平氏の長男である元氏が現在もカープのオーナーを務めている。

そのマツダが国内販売5チャンネル化などバブル期の拡大路線がたたり、経営危機に陥った。1996年に米フォード・モーターがマツダに33.4%出資し、社長はじめ経営陣を送り込んでリストラに乗り出す。

カープもリストラの一環として身売りされるのではないかとの懸念もあった。が、米国企業にとってプロ野球球団を保有するのは最高の名誉とされていることから、フォードは引き続きスポンサーとしてカープの支援を続けることを快諾した。

もしもマツダに出資したのが、日産自動車<7201>を救済した仏ルノーや三菱自動車工業<7211>を支援した独ダイムラー・クライスラー(現・ダイムラー)のような野球への関心が薄い欧州企業だったら、カープは身売りされていたかもしれない。

逆にサッカーに興味がない米国のフォードが日産や三菱自動車に出資していたら、サッカーチームの横浜F・マリノスや浦和レッドダイヤモンズが売却されていた可能性もあった。親会社の買収に伴う身売りがなかった日本のプロスポーツは幸運だった。

かつてBクラスが定位置だったカープも、リーグ優勝回数は中日ドラゴンズと並ぶ9回となり、36回の巨人に次ぐ2位に。2018年には巨人以来リーグ2番目となる3連覇を達成し、現在はセ・リーグの強豪チームだ。しかし、日本一には1984年以来、34年も遠ざかっている。

2018年10月27日のホームでの初戦は延長12回の激闘の末、引き分けに終わった。はたして広島はソフトバンクを下し、21世紀では初となる日本一の座をつかむことができるだろうか。