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「ハゲタカ」(2009年)|一度は見ておきたい経済・金融映画&ドラマ<12>

※この記事は公開から1年以上経っています。
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経済や金融業界のリアルな姿を垣間見たいのなら、映画がおすすめ! 特に本を読むのが苦手な人や異業種で働く人には、映像で見るのは分かりやすく、2時間程度なので手っ取り早い。実話をベースにした作品もあるので、世の中の経済事件を理解するのにも一役買ってくれる。多少専門用語も出てくるものもあるが、映画をきっかけに勉強してみるのもおすすめだ。エンターテインメントとしても楽しめる、おすすめの1本を紹介する。

「ハゲタカ」(2009年)

映画「ハゲタカ」

NHKの連続ドラマで初めて映画化された作品。ドラマ「ハゲタカ」の4年後を舞台にした続編だ。映画製作中にリーマン・ショックが起こったため、当時進められていた脚本を大幅に書き換えて時代に即した内容に変更したという。

【あらすじ】

変わろうとしない日本社会に嫌気がさし、日本を離れて海外に拠点を移した鷲津(大森南朋)。企業再生家としてアカマ自動車の役員を務める芝野(柴田恭兵)から、外資系ファンドに狙われているアカマ自動車を救ってほしいと助けを求められる。
今回、鷲津が戦う相手は、残留日本人孤児三世の劉一華(玉山鉄二)率いる中国系ファンド「ブルー・ウォール・パートナーズ(BWP)」。アカマにTOBを仕掛けてきたBWPに対し、鷲津ファンドはアカマのホワイトナイトとしてTOB合戦に加わる。だが、中国政府系ファンド「CLIC」の後ろ盾があるBWPは、潤沢な資金を武器に鷲津を圧倒していく。

【見どころ】

リアリティー増す時代性

ドラマ同様、映画もドキュメンタリータッチで描かれており、現実とリンクする部分が多い。経済大国として台頭し始めた中国、そして日本市場で飛び交う中華マネー。2000年代後半以降、中国企業による日本企業の買収が増えていったのは記憶に新しい。まさに「爆買い」のごとく、三洋電機やラオックス、本間ゴルフにレナウンなど、業績不振の日本企業を傘下に収めていった。
さらに映画には、「リーマン・ショック」や「派遣切り」といった問題も盛り込まれている。
脚本を大幅に変更してでもこれらの問題をタイムリーに描いているのは、より多くの人がリアリティーをもって自分事として経済や金融を身近に捉えられるための仕掛けといってもいいだろう。

資本主義の焼け野原

資本主義が生んだ格差社会の底辺にいた劉。資本主義の華やかさを象徴するかのようなアカマ自動車の車に憧れ、貧困から這い上がるべく、様々なものを切り捨ててファンドマネージャーとして成り上がっていく。ドラマでも資本主義に人生を翻弄される “つわものども”の栄枯盛衰が描かれているが、映画では劉の人生を通して、資本主義の破綻や矛盾、そこに隠された悲劇を浮き彫りにしている。そして、一人の“つわもの”が消えても、また次の“つわもの”が生まれていくことをエンディング近くで予感させる。
映画終盤、「見に行きますよ、焼け野原を。資本主義のね」という鷲津のセリフが印象的だ。資本主義の焼け野原に残るものは何なのか。その焼け野原から私たちが学べることは何なのか。そう映画が問いかけているかのようだ。

文:M&A Online編集部

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