経済や金融業界のリアルな姿を垣間見たいのなら、映画がおすすめ! 特に本を読むのが苦手な人や異業種で働く人には、映像で見るのは分かりやすく、2時間程度なので手っ取り早い。実話をベースにした作品もあるので、世の中の経済事件を理解するのにも一役買ってくれる。多少専門用語も出てくるものもあるが、映画をきっかけに勉強してみるのもおすすめだ。エンターテインメントとしても楽しめる、おすすめの1本を紹介する。

「不撓不屈」(2006年)

「不撓不屈」

高杉良による同名小説を映画化した社会派ドラマ。中小企業の権益を守るため、国を相手に闘った一人の税理士・飯塚毅氏の半生を描く。当時、この出来事は「飯塚事件」として知られ、国会でも取り上げられるほど注目を集めた。その闘いは7年もの間に及ぶ。なお、飯塚氏は「TKC(栃木県計算センター)」の創設者でもある。

【あらすじ】

昭和38年、高度経済成長真っただ中の日本。栃木県鹿沼市と東京に会計事務所を構える税理士の飯塚毅(滝田栄)は、顧客である中小企業の経営を支えるべく、法に則った節税指導を行っていた。ところが、あることがきっかけで国税庁に目をつけられ、不当な税務調査を仕掛けられてしまう。

【見どころ】

「別段賞与」と「旅費日当」による節税指導

別段賞与とは、今でいう決算賞与のこと。大企業と比較して経営基盤が脆弱な中小企業を支援するために飯塚氏が考案した。企業が大きな利益を出した際に従業員に対して特別賞与を支給する。だが、すぐには支払わず、未払金として損金に計上。未払い金は従業員に利息を支払いながら事業の運転資金にできるというものだ。賞与の支給は資金事情が好転した時でよく、当時の税法上では問題ないものだった。
また、旅費規程を定めると旅費日当は経費として算入でき、非課税所得となることから、飯塚氏は節税のために1日あたり2000円というように日当を高めに設定することを勧めた。映画内でも語られるように、当時の総理大臣の日当が700円だったというから、その金額は破格であったことがよくわかる。

“不撓不屈”の姿勢を支えた家族との絆

上記の節税対策を国税庁は節税ではなく脱税指導だとして、飯塚氏を徹底追及。嫌がらせのように弾圧的な税務調査を繰り返したが、違法なことは何もしていないとして飯塚氏はひるむことなく真っ向からに国税庁に立ち向かう。一介の税理士が、国税庁という大きな権力機関を相手に闘うことは生半可なことではない。事実、闘いの中で顧客や従業員たちの大半を失っていってしまう。それでも飯塚氏が権力に屈することなく、闘っていけたのは家族との絆があったからだということが伝わってくる。
息子から手紙をもらうシーンや、妻・るな子(松坂慶子)が事件の渦中にあっても大らかにふるまう姿、そして夫を守るためには時には単身で大胆な行動に出る頼もしい姿に胸が熱くなるはずだ。

文:M&A Online編集部