【新生銀行】買い手に「食い物」にされた旧名門行の買収トラウマ

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt
新生銀行はSBIの敵対的TOBから逃れることができるか?(Photo By Reuters)

発足早々「食い物」にされた新生銀

そもそも「不運」の始まりは、最初の買収にあった。金融機能再生緊急措置法によって国有化された旧長銀は、2000年3月に米企業再生ファンドのリップルウッドや外国銀行などが構成する投資組合ニューLTCBパートナーズ(New LTCB Partners CV)に10億円で売却。同6月に新生銀行として再出発した。

ところがニューLTCBパートナーズは公的資金で積み上げた貸し倒れ引当金の取り崩し益を狙って、新生銀行に融資先から苛烈な貸し剥がしをするよう命じた。貸し剥がしで融資先が経営破綻すれば、貸し倒れが確定して引当金を取り崩せるからだ。

この貸し倒れ引当金により、新生銀は2002年3月期に早くも612億円の当期純利益を上げる。しかし、その影響で同行をメーンバンクとするライフやそごう、第一ホテル、エルカクエイなどが相次いで倒産。融資先保護のために公的資金を投入した政府にとっては、明らかに「信義則違反」だった。

国会でも新生銀の貸し剥がしは大問題となったが、新生銀は旧長銀の売却契約に盛り込まれていた「引き継ぎ債権が3年以内に2割以上下落したら、国に買取請求できる」との瑕疵担保条項を盾に正当化を主張。同行の貸し剥がしを止めることはできなかった。

2004年2月に新生銀は東証1部へ上場し、ニューLTCBパートナーズは約2300億円の売却益を手に入れた。同投資組合の出資金は諸費用を含めて約1210億円だったので、4年間で1000億円以上の利益を得たことになる。十分なリターンを得たニューLTCBパートナーズは2006年11月に経営から手を引き、新生銀はファンドの手を離れて経営のフリーハンドを得る。

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

中京銀行で希望退職に150人が応募、国内銀行での募集は12年ぶり

中京銀行で希望退職に150人が応募、国内銀行での募集は12年ぶり

2021-09-12

中京銀行は8月31日、8月2日~8月20日に応募があった希望退職者が150人であったと発表した。国内銀行本体での希望退職募集は2009年から12年ぶり。

関連のM&A速報