NTTドコモが銀行ビジネスへの参入に意欲を燃やしている。前田義晃新社長はM&Aによる銀行業参入の可能性についても言及した。かつて「iモード」の成功を受けて銀行業への参入も取り沙汰されたが実現しないまま今日に至っている。なぜ今、銀行業なのか?
以前に比べて銀行が不便になったと思っている方も多いのではないだろうか。しかし、今、銀行のリテール部門は、富裕層に力を入れて、収益改善を図ろうとしている。富裕層については一般顧客と全く違う対応を行っており、多くの富裕層が満足をしている状況だ。
多くの銀行ではリテール部門を縮小し、全体の収益改善に努めているようだ。しかし、リテール部門は富裕層に特化をすれば、決して利益が出ない部門でもない。今回は銀行のリテール部門が生き残るために取り組んでいる富裕層ビジネスの実態について説明する。
銀行のリテール部門は従来、いくら稼いだかの収益で評価されていた。収益目標は非常に厳しく、多くの担当者が苦しんだが、ある意味、わかりやすい評価体系だった。ところが、パワハラなどが問題になるにつれ、今は収益目標を課すことすらできなくなっている。
メガバンクは、金融商品の販売だけではなく、金融とは関係ない非金融のサービスに力を入れている。掃除の代行やトイレのトラブル生活に必要なサービスの案内はもちろん、インターネットなどのパスワードを管理するサービスもある。
最近、三井住友銀行がSBI証券と提携をしたというニュースが流れた。内容は三井住友グループが提供する「Olive(オリーブ)」というアプリからSBI証券に簡単にアクセスできるようになるというものだ。これは一体何を意味しているのだろうか。
銀行は斜陽産業といわれて久しい。ひと昔前は圧倒的な人気を誇った就職先としての銀行だが、現在は商社やコンサルティング会社に押されている。しかし、実際に銀行に勤めていた私からみると銀行に就職するのは悪くないと感じている。
今、多くの銀行では、個人の顧客相手に資産運用や住宅ローンの提案をするリテール部門の収益に苦しんでいる。なぜなら、リテール部門は個人の顧客を相手にするため、手数料が低く、かつ個人の相手なので時間がかかる欠点があるからだ。また多くの人員を割く必要があり、多くの銀行ではこの部分が赤字になっている。
メガバンクは今、おカネのかかる支店の縮小に力を入れている。4~5年前から流行っているのが共同店舗だ。共同店舗とは、1つの支店に複数の支店が共同で入っている店舗のことを指す。統合される側の店番号などは残っているが、実態は単なる店舗の統合に過ぎない。実質の店舗の削減にほかならないのだ。
一昔前は、銀行は預金や融資しか取り扱いがなかったが、最近は投資信託や債券、保険など様々な投資商品を扱っている。資産運用の相談員(総合職)の資産運用に関する知識レベルは一様に高い。では、銀行員はどのような投資をしているのか。