【新生銀行】買い手に「食い物」にされた旧名門行の買収トラウマ

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新生銀行はSBIの敵対的TOBから逃れることができるか?(Photo By Reuters)

元同業のあおぞら銀との経営統合は破談

だが、すでに「時間切れ」で瑕疵担保条項による貸し倒れ引当金の取り崩し益は得られなくなった上に、新規上場益という「金鉱」は掘り尽くされていた。法人向けの事業は投資ファンド時代の貸し剥がしで顧客離れが進んで壊滅状態になった。

そのため、設立当初から他行の自動現金預払機(ATM)の利用無料化や振込手数料の無料化といった個人向けサービスに力を入れる。だが、2005年からは国内外の不動産関連の証券化商品に投資する投資銀行業務に力を入れるなど、経営方針が変わった。その投資銀行業務も2008年のリーマン・ショックに伴う景気後退で大打撃を受ける。

そこで新生銀は、同じ長期信用銀行を前身とするあおぞら銀との経営統合を目指す。2009年6月には両行が2010年中の経営統合で基本合意したと発表した。ところが、この合併話は破談に終わる。新生銀が海外投資で多額の損失が発生するなどして2010年3月期の連結決算で最終赤字に陥ったことを、あおぞら銀が警戒したのだ。経営統合後の経営方針もまとまらず、2010年5月に合併中止を発表する。

新生銀は個人向けサービスを多角化するために買収した信販や消費者金融事業で生き延びることになった。同行の連結利益のほとんどが、2004年に買収した信販会社のアプラスと2008年に買収した消費者金融のレイクの2社によるもの。銀行業務では利益が出せない状況が続いている。

そんな「鳴かず飛ばず」の新生銀に目をつけたのが、SBIとマネックスグループ<8698>傘下のマネックス証券だった。

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