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【日本通運】宅配便で惨敗した「物流の雄」の起死回生プランとは

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惨敗、そして海外へ

 2009年4月に日通は新会社「JPエクスプレス」へ、ペリカン便事業を移管する。同年10月にはJPエクスプレスが日本郵便から荷物事業を引き継ぎ、新たな統一ブランドでのサービス開始を予定していた。ところが、総務大臣から「日通側が収益性の高い都市部を担当する一方で、不採算の地方集配を郵便事業側に任せるなど不平等な事業形態だ」と批判されて認可が得られず、統合が見送りに。

 これを受けて日通は同月、JPエクスプレスの所有株式34万株のうち20万株を郵便事業に譲渡。折半だった出資比率を14%に引き下げて持分法適用関連会社から外す。同年12月に郵便事業がJPエクスプレスを清算し、同社の宅配便事業を「ゆうパック」ブランドで引き継ぐと発表した。ペリカン便は体よく「消されて」しまう。2010年8月には980億円もの累積赤字を残し、JPエクスプレスは解散した。文字通り「惨敗」である。

 成長する宅配便市場での足場を失った日通は、M&Aの活用で海外事業の強化を狙う。もともと日通は海外輸送に強く、2007年1月には台湾の立欧股份有限公司(立欧社)から海運代理店事業を買収、同4月にはインドの航空・海運業務代理店J I Logistics Private Limitedの発行済株式51%を取得し、社名を「Nippon Express (India) Private Limited」(インド日通)に変更するなど、アジアでの輸送力強化に力を入れてきた。

 しかし、JPエクスプレスによる宅配便合弁事業が破綻してからは、欧米市場を意識した国際M&Aに取り組むようになる。2012年3月、米国日本通運が米国内・国際輸送業務、倉庫業務などを手がける中堅物流業者の米Associated Global Systems(AGS)を買収。同年10月には香港日本通運がアパレル、化粧品などの物流を手がけるAPC Asia Pacific Cargo(APC)の全株式を取得する。同社は香港に本社を置くものの、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧を中心とした欧州地域にも拠点を展開していた。

国際物流
M&Aで国際物流事業を強化した日通

M&A Online編集部

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