「日本電産」EV戦略にアクセル 三菱重工工作機械を買収

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写真はイメージです

日本電産<6594>EV(電気自動車)戦略にアクセルを踏み込んでいる。 

同社は2021年2月5日に、EVを駆動させるモーターシステム(トラクションモーターシステム)増産のため、三菱重工業<7011>から工作機械や切削工具などの設計・製造を手がける三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)を買収すると発表した。

トラクションモーターシステムは駆動用モーターに、インバーター(直流交流変換装置)やギア(歯車)を組み合わせた製品で、日本電産ではこれら主要部品の内製化を目指していた。

三菱重工工作機械はギアに精通した人材と高度な技術を持ち、傘下に収めることで内製化とともにスケールメリットを生かしたコスト競争力を高めることができると判断した。

今後、増産に向けた投資などを行い、工作機械事業を世界的な規模に拡大する計画だ。

目指す世界シェアは40-45%

日本電産はトラクションモーターシステム「E-Axle」を2019年4月から量産し、2021年1月に販売台数が10万台を突破した。採用しているのは中国の自動車メーカ-で、2021年1月1日時点で6車種に搭載されている。

2019年4月から量産している「E-Axle」

今後出力が異なる4タイプの「E-Axle」の量産を始める予定で、これによって世界の自動車の98%をカバーできるとしている。「E-Axle」を2025年に250万台、2030年に1000万台販売し、2030年までにトラクションモーター市場で世界の40-45%のシェア獲得を目指す。

この大増産に不可欠なのがギア生産の強化で、今回の三菱重工工作機械の買収は同社のEV戦略にとって重要な取り組みとなる。さらに三菱重工工作機械の買収と合わせて、工作機械事業を専業とする三菱重工業の海外子会社3社の買収と、三菱重工業の海外子会社9社が営む工作機械事業も譲り受ける。

2030年には10兆円企業に

三菱重工工作機械は1939年に広島で旋盤生産を始め、国内トップの旋盤メーカーに成長。1944年には航空機エンジンとエンジンバルブの生産を始めた。1962年に歯車工作機械を事業化し、1966年に歯車研削盤を国産化。2009年には量産対応用の内歯車研削盤を完成した。2021年3月期の売上高は前年度比42.7%減の231億円の見込み。

日本電産の2021年3月期の売上高は前年度比1.0%増の1兆5500億円、営業利益は同42.8%増の1550億円、税引き前利益は同42.6%増の1500億円、当期利益は同2.05倍の1200億円の見込み。

2030年には売上高10兆円を目指しており、これを実現するための施策として2021年4月から職責・職務の大きさと成果に応じて処遇を行う報酬制度などを導入する予定。

文:M&A Online編集部

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