業績悪化で内村航平選手との所属契約を打ち切った「リンガーハット」まだ見えぬ回復の兆し 

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野菜たっぷりのちゃんぽん(写真はイメージです)

長崎ちゃんぽん店や、とんかつ店を運営するリンガーハット<8200>が苦境に陥っている。コロナ禍で売り上げの減少に歯止めがかからないのだ。

このため同社では役員報酬減額の延長を発表したほか、固定資産の売却による特別利益の計上や収益改善が見込めない店舗の閉店を進める計画などを明らかにしている。

さらに2017年3月に締結した体操の内村航平選手との所属契約についても「想定をはるかに上回る業績悪化」を理由に2020年12月末に打ち切った。

これら対策の効果はどのように現れるだろうか。

第4四半期は悪化見通し

リンガーハットが2021年1月14日に発表した2021年2月期第3四半期決算によると、第3四半期累計(2020年3ー11月)の売上高は254億9400万円だった。2021年2月期通期の売上高は334億円の見込みのため、2020年12月から2021年2月までの第4四半期のみの売上高は79億600万円となる。

2021年2月期第1四半期(2020年3-5月)に前年同期比39.1%減の71億6300万円に落ち込んだ売上高は、第2四半期(同6-8月)に89億7800万円、第3四半期(同9-11月)に93億5300万円と徐々に増加していたが、第4四半期には、再び70億円台に落ち込む見通しだ。

月次の既存店売上高を見ても、2020年10月、11月に前年同月比80%台だったのが12月には同74.8%と低下しており、2021年1月、2月については11都府県に出されている緊急事態宣言の影響が避けられない状況だ。

売り上げの不振に伴い損益も厳しい状況にある。売上高と同じように計算すると、第4四半期のみの営業損益は13億6500万円の赤字となり、第2四半期、第3四半期よりも悪化する。

同社では通期の見通しを第3四半期、第4四半期合計の既存店売上高を前年同期比を80%と想定して算出したとしている。第3四半期は想定通り進んだものの、第4四半期のスタート月である12月の売上高を見ると、実績がこの通期見通しを下回る可能性は否定できない。

【リンガーハットの業績推移】単位:億円、第4四半期、通期は予想

  第1四半期
(3-5月)
第2四半期
(6-8月)
第3四半期
(9-11月)
第4四半期
(12-2月)
通期
売上高 71.63 89.78 93.53 79.06 334
営業損益 △23.77 △12.17 △6.41 △13.65 △56
経常損益 △24.94 △12.47 △7.04 △12.55 △57
当期損益 △17.82 △52.02 △3.39 △13.77 △87

新店出店の積極策も

こうした状況を踏まえ、同社では2020年7月から実施している役員報酬の減額(月額報酬の10-30%の減額)を2021年6月まで延長することを決めた。また2020年12月に飲食店用不動産を売却し、売却益7億7700万円を特別利益として計上した。

さらに収益改善の見込めない店舗については、第3四半期までに72店舗を閉店しており、今後もさらに閉店を進める計画という。

その一方で、2021年2月期は新たに17店舗を出店する計画(2020年12月までに16店舗を出店)で、積極策にも取り組んでいる。

こうした対策で事業の収益性を高めていく戦略だが、営業時間の短縮や外出の自粛などからなる緊急事態宣言の影響は決して小さくはなく、飲食業の置かれた環境は至って厳しい。業績好転の兆しが現れるのはしばらく先のことになるかも知れない。

文:M&A Online編集部

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