日本製の新型コロナウイルスワクチンの開発に取り組んでいるアンジェス<4563>が2020年12月15日に、先端的なゲノム編集技術を持つ米エメンドバイオ(ニューヨーク州)を完全子会社化する。

アンジェスではエメンドバイオの企業価値を2億5000万ドル(262億5000万円)としており、エメンドバイオ株主への対価は主にアンジェスの新株を発行して充当する。 

アンジェスはすでにエメンドバイオの40%の株式を保有しており、100%に高めることでエメンドバイオが持つ次世代ゲノム編集技術を活用して、遺伝子治療用製品の実用化につなげいくという。

262億円もの巨費を投じてでも傘下に収めたいエメンドバイオとはどのような企業なのか。

遺伝子医療のグローバルリーダ―に

エメンドバイオはイスラエルの研究機関であるワイツマン科学研究所の科学者によって2015年12月に設立された企業。本社は米国にあるが、主な研究はイスラエルで行われている。

アンジェスが公表した直近3年間の業績によると2017年12月期は3億1900万円の営業赤字、2018年12月期は3億3700万円の営業赤字、2019年12月期は5億6700万円の営業赤字と、3期連続の赤字が続いている。

 さらに2020年6月30日時点では、営業赤字は5億4700万円で、売上高は「該当なし」としており、数字を見る限り経営が軌道に乗っているとは言い難い。

ではアンジェスに巨費を投じる価値があると判断させたエメンドバイオが持つゲノム編集とはどのようなものなのか。

ゲノム編集は特定の遺伝子のみを切断、編集、改変する技術で、特定の遺伝子の機能を失わせたり、病気の原因である遺伝子の異常を修正する方法などが開発されており、究極の遺伝子治療技術になる可能性が指摘されているものだ。

ゲノム編集には核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)が用いられるが、エメンドバイオは従来のヌクレアーゼとは異なる新しいヌクレアーゼを開発し、効率や精度が高いゲノム編集技術の確立を目指しているという。

アンジェスは遺伝子を組み込んだプラスミド(環状DNA)を用いた遺伝子治療製品の開発のほか、核酸医薬品とDNAワクチンを加えた3分野を事業の柱に据えており、エメンドバイオを完全子会社化することで、ゲノム編集を事業の第4の柱に育てる計画だ。

アンジェスでは今回の買収により「米国、イスラエルに拠点を置く世界的な遺伝子治療製品の開発企業となり、遺伝子医薬のグローバルリーダ―に近づく」と、期待を露わにしている。

果たしてアンジェスの狙い通りの成果は得られるのだろうか。

文:M&A Online編集部