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引退後も利益を享受し会社を操った、ひらまつ創業者の影の支配力
アドバンテッジと提携したひらまつが創業者との軋轢に苦心しています。平松博利氏は業務委託報酬など12億4,500万円を支払うよう提訴。それに徹底抗戦する現経営陣は、平松氏が引退後も会社を私物化しようとした実態を明らかにしました。
アドバンテッジパートナーズ(港区)は、2005年に設立された日本を代表する独立系投資ファンドの一つです。2020年12月末に新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けたスターフライヤー<9206>の第三者割当増資を引き受けました。7月にはペッパーフードサービス<3053>に対する資金支援も行っています。
コロナ禍で企業の資金調達や事業を売却する動きは今後も加速すると見られています。アドバンテッジは銀行やIT、小売、外食、教育、製造業に至るまで、あらゆる業界で活躍してきました。その豊富な経験をもとに、ポスト・コロナの日本でビジネスの成長を促す存在になると期待されています。
アドバンテッジパートナーズとはどのような会社なのでしょうか。
この記事では以下の情報が得られます。
・アドバンテッジパートナーズの概要
・投資先一覧
・メガネスーパー買収の詳細
アドバンテッジパートナーズは1992年創立。1997年に日本で初めてとなるバイアウトファンドを立ち上げました。国内のプライベート・エクイティ投資の先駆者となり、その道を切り開いています。笹沼泰助氏とリチャード・フォルソム氏が共同代表を務めています。
笹沼氏は慶応大学法学部卒業後は積水化学工業<4204>に入社。30歳で退職し、慶応大学大学院に入学しています。大学院卒業後はベインアンドカンパニーで企業戦略の立案に携わりました。その後、アドバンテッジパートナーズを設立しました。共同代表のリチャード・フォルソム氏とはベインアンドカンパニーで出会いました。フォルソム氏はブリガムヤング大学、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール終了後にベインアンドカンパニーに入社。東京事務所にて大手日本企業の戦略立案に従事しました。30年以上アジアに在住する投資のスペシャリストです。
アドバンテッジパートナーズは大きく三つの事業体に別れています。バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズ、国内の上場企業のファイナンスとコンサルティングを行うアドバンテッジアドバイザーズ、日本以外のアジア圏を対象としたアジアファンドです。アドバンテッジアドバイザーズの第一号ファンド「InfleXion」の設立が2008年、アジアファンドの設立が2016年。シンガポールオフィスと上海オフィスを同時期に開設しています。
2019年6月期の純利益は42万7,000円。これまでで11本のファンドを立ち上げています。
■アドバンテッジパートナーズのファンド一覧
日本バイアウト | 投資開始 | ファンド規模 | ファンド投資件数 | 投資先による買収件数 | イグジット済件数 |
MBI Fund Ⅰ | 1997年10月 | 30億円 | 5 | 0 | 5 |
MBI Fund Ⅱ | 2000年1月 | 180億円 | 9 | 2 | 9 |
MBI Fund Ⅲ | 2003年8月 | 465億円 | 11 | 8 | 11 |
Advantage Partners Fund Ⅳ | 2006年12月 | 2,156億円 | 14 | 18 | 13 |
Advantage Partners Fund Ⅳ-S | 2012年12月 | 200億円 | 11 | 2 | 5 |
Advantage Partners Fund V | 2015年10月 | 606億円 | 13 | 4 | 1 |
Advantage Partners Fund VI | 2020年4月 | 850億円 | 3 | - | - |
日本上場企業マイノリティ | 投資開始 | ファンド規模 | ファンド投資件数 | 投資先による買収件数 | イグジット済件数 |
InfleXion Ⅰ | 2008年5月 | 265億円 | 10 | 13 | 10 |
InfleXion Ⅱ | 2018年1月 | 107億円 | 14 | 4 | 3 |
アドバンテッジアドバイザーズ成長支援ファンド(AAGS) | 2019年12月 | 231億円 | 1 | - | - |
アジア | 投資開始 | ファンド規模 | ファンド投資件数 | 投資先による買収件数 | イグジット済件数 |
Asia Fund Ⅰ | 2016年1月 | USD 370 million | 7 | 1 | 0 |
※ホームページより筆者作成
アドバンテッジと提携したひらまつが創業者との軋轢に苦心しています。平松博利氏は業務委託報酬など12億4,500万円を支払うよう提訴。それに徹底抗戦する現経営陣は、平松氏が引退後も会社を私物化しようとした実態を明らかにしました。