上場企業による希望(早期)退職募集の動きが2021年も年明けから相次いだ。アパレルの三陽商会が150人程度を募るのを筆頭に、映像制作のIMAGICA GROUP、外食のかんなん丸など7社が人員削減の計画を発表した。

新型コロナウイルス感染拡大の第3波で1月初めに出された2度目の緊急事態宣言が10都府県で1カ月延長されたことで業績の戻りはさらに遠のき、リストラ圧力が一層強まりかねない情勢だ。

三陽商会、2018年に続く希望退職

2020年、上場企業の希望退職募集は少なくとも年間93社(計画発表ベース)と前の年の2.6倍に急増した。新型コロナ禍による営業時間短縮や外出自粛の影響が直撃した外食やアパレル、観光関連にとどまらず、製造業を含む産業界全般に及んだ。1月単月でみても前年の5社から今年は7社に増えており、昨年来の勢いは衰えていない。

1月の発表分で希望退職の募集人数が最多なのは三陽商会。全従業員を対象とし、年齢や勤続年数に関係なく、150人程度を募る。実は、同社は昨年12月から40歳以上の正社員(販売職を除く)を対象に退職者を募る「セカンドキャリア支援制度」(人数は定めず)を実施していたが、仕切り直しする形で今回の希望退職に移行する。募集期間は2月15日~3月5日(退職日は3月31日)。

三陽商会は2015年に経営の柱だった英ファッションブランド「バーバリー」のライセンス契約終了後、業績低迷が深刻化している。最終赤字は2021年2月期(見込み)まで5期連続で、とりわけ足元は新型コロナの影響拡大で状況が厳しさを増している。希望退職の募集は2018年(250人募集)以来だ。

同業のメーカー系アパレルでは昨年、業界上位3社のオンワードホールディングスが350人程度、ワールドが200人程度、TSIホールディングスが300人程度の希望退職募集に踏み切ったほか、名門のレナウンが経営破たんするなど、“アパレル総崩れ”の様相を呈した。

女性下着や化粧品などの訪問販売を手がけるシャルレは「セカンドキャリア支援選択支援制度」を導入し、50歳以上(再雇用嘱託社員を含む)を対象に1月中に退職者(人数は定めず)を募った。2021年3月期は約18億円の最終赤字(前の期は7300万円の黒字)に転落を見込む。

外食は2社、かんなん丸とヴィア・HD

1月は7社中、2社が外食企業となった。居酒屋のかんなん丸は27店舗の閉店に伴い80人規模の希望退職を実施する。同社は居酒屋チェーン大手、大庄のフランチャイズ加盟店で、埼玉県を地盤として「庄や」「日本海庄や」「やるき茶屋」などを約60店舗運営するが、半数近くを6月末までに閉店する。

もう1社は居酒屋「魚や一丁」、炭火焼「日本橋紅とん」をはじめ30以上のブランドを展開するヴィア・ホールディングス。40歳以上60歳未満の正社員を対象に約50人を募集する。都心部でのオフィスワーカーの減少、宴会需要の落ち込みで主力の居酒屋業態が大きな打撃を受けている。

佐鳥電機は2年連続で実施

IMAGICA GROUPは、本体と映像制作の中核子会社のIMAGICA Lab(東京都品川区)で合計100人程度(うち本体で10人)の退職者を募る。新型コロナの影響で国内映像市場が厳しさを増す中、グループ事業再編など構造改革を進めている。

2年連続の希望退職募集となるのはエレクトロニクス商社の佐鳥電機。同社は昨年に60人程度(46人応募)を募ったが、今回は間接部門で30人程度を予定する。メーカーでは東京コスモス電機がやはり30人程度を募集することを発表した。

◎1月:希望退職の実施を発表した上場企業

社名募集人員、カッコ内は募集期間
シャルレ 定めず(1月13日~29日)
かんなん丸 80人程度(3月1日~10日)
三陽商会 150人程度(2月15日~3月5日)
ヴィア・ホールディングス 約50人(2月15日~25日)
IMAGICA GROUP 本体10人・子会社90人の計100人程度
佐鳥電機 30人程度(3月15日~31日)
東京コスモス電機 30人程度(3月1日~12日)

文:M&A Online編集部