アパレル業界の再編加速か「日鉄物産」「三井物産」が繊維事業を統合へ

alt
写真はイメージです

日鉄物産<9810>と三井物産<8031>傘下の三井物産アイ・ファッション(東京都港区)が繊維事業の統合に向けて動き出した。

国内アパレル向けのOEM(相手先ブランド生産)市場が縮小傾向にあるところに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、厳しい状況が続くことが予想されるため繊維事業の強化と持続的な成長を目指して提携に踏み切るという。

アパレル業界は多くの企業で売り上げが減少しているほか、新型コロナウイルスの影響による倒産も飲食業に次いで多い状況にある。

今後生き残りをかけて、今回のような事業統合や企業買収などの事例が増加する可能性は高そうだ。

調達の効率化や海外市場の開拓に注力

日鉄物産と三井物産アイ・ファッションの両社は、折半出資の新会社を設立したうえで繊維事業を統合する予定で、2021年6月をめどに両社間で最終契約を結び、2022年1月をめどに実施に移す。

新会社では統合による規模の拡大を生かし、調達の効率化や機能強化に取り組むとともに、海外市場向け事業の拡大や、デジタル技術を用いた新サービスの提供などを進める。

三井物産アイ・ファッションは、三井物産繊維部門の業務補完会社だった三井物産インターファッションと、三井物産繊維部門の業務委託会社だった三井物産テクノプロダクツが合併して2016年に誕生した企業で、機能素材やアパレル、服飾雑貨製品などの調達や販売を手がけている。

コロナ禍の影響が軽微だった2020年3月期の売上高は1082億800万円(前年度比1.9%減)、当期利益は15億9800万円(同18.0%増)だった

日鉄物産は日本製鉄グループの商社で、鉄鋼、産機・インフラ、繊維、食糧の四つを事業領域としている。繊維事業は1883年創業の伊藤萬商店にまでさかのぼる最も歴史の長い事業。

コロナ禍の影響を受けた2021年3月期第3四半期(2020年4月-12月)決算では、繊維事業の売上高は前年同期比26.8%減の728億円、経常利益は同80.1%減の6億円と厳しい内容だった。

80%が前年実績割れに

帝国データバンクがアパレルを中心とした衣服類販売を手がける上場企業のうち、月次売上高を公表している24社について2020年12月分の全店売上を集計したところ、2020年12月の月次売上高が前年同月実績を上回ったのは5社だけで、およそ80%に当たる残りの19社は前年同月実績を下回った。

また、東京商工リサーチによると2021年2月3日時点の新型コロナ関連の経営破たん件数は964件で、このうち173件で最多となった飲食業に次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連が88件と2番目に多かった。

全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)についてM&A Online編集部が集計したところ、2020年は繊維製品の製造分野で7件のM&Aがあり、2019年(10件)より3件減少した。衣料品の小売り分野では10件のM&Aがあり、2019年(6件)より4件増加した。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

【日本M&A史】三菱重工業の復活 財閥から企業集団へ(8)

【日本M&A史】三菱重工業の復活 財閥から企業集団へ(8)

2020/11/04

1964年6月、三菱三重工(三菱日本重工・新三菱重工・三菱造船)合併による三菱重工業の復活は、「財閥の復活」として国内外に大きな反響を呼んだ。統合には、三菱三重工間の競合や重複投資を除去するというねらいがあった。

関連のM&Aニュース