​臨床試験が始まった塩野義の新型コロナウイルス向け「国産ワクチン」とは?

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写真はイメージです

塩野義製薬<4507>は2020年12月16日に、新型コロナウイルス感染症ワクチンの第1/2相臨床試験を始めた。日本企業としてはアンジェス<4563>に次ぐ2社目となる。

米国のファイザーや英国のアストラゼネカなどの製薬会社はすでに新型コロナウイルス向けワクチンの開発を終え、ワクチン接種が始まっている。日本企業は大きく遅れをとっているわけだが、将来に渡って確実にワクチンを確保するためには国産ワクチンの開発は重要だ。

塩野義が臨床試験を始めたワクチンとはどのようなものなのか。

昆虫細胞がワクチンを生産

塩野義が開発しているのは遺伝子組換えたんぱくワクチンで、新型コロナウイルスの遺伝子情報から目的とするたんぱく質(抗原)を、昆虫細胞などを用いて作り出す。

2019年に子会社化したUMNファーマ(秋田市)が持つ技術を活用して開発を進めており、これまでに同技術を用いて開発したインフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品が実用化されているという。

臨床試験は200人以上の日本人成人を対象に、用量を変えた抗原と、ワクチンの効果を補強する物質であるアジュバントを用いて実施する。

少人数での安全性などを確認する第1相臨床試験と、ワクチンの適量を検討する第2相臨床試験を予定しており、3週間間隔で2回接種し安全性や忍容性(副作用がどれだけ耐えられるのかを示す指標)、免疫原性(抗体を作り出す性質)を接種後1年間追跡評価する。

2021年2月末から速報データが得られる見込みで、その後、安全性確認のための追加試験や、ワクチン接種者を増やした第3相臨床試験に進む予定。

KMバイオロジクス、第一三共も開発中

アンジェスと塩野義のほかに国産ワクチン開発に取り組んでいるのは、2018年に明治ホールディングス<2269>が子会社化したKMバイオロジクス(熊本市)と、第一三共<4568>の2社。

KMバイオロジクスは感染力をなくしたウイルス粒子などから作る不活化ワクチンを、第一三共は遺伝子であるDNAの情報を伝えるmRNAを用いたワクチンを開発している。両社とも近いうちに臨床試験に入るものと思われる。

文:M&A Online編集部

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