「吉野家」「イオン」に回復の兆し 業績上方修正企業が続々

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写真はイメージです

コロナ禍で業績の悪化が続いていた牛丼チェーンの吉野家ホールディングス(HD)<9861>が、2021年1月13日に発表した2021年2月期第3四半期(3-11月)決算によると、9-11月の営業利益が黒字化した。

小売業最大手のイオン<8267>も、2021年1月13日に発表した2021年2月期第3四半期(3-11月)決算によると、通期の営業利益が当初予想よりも500億-700億円上振れする。

東京商工リサーチによると、2020年に売上高や利益を上方修正した上場企業は551社あり、上方修正額の合計は売上高が約2兆8159億円、当期利益が約7952億円に達するという。吉野家やイオンのように業績回復の見通しが立った上場企業が増えていることがうかがえる。

一方、新型コロナウイルス感染症の拡大で、飲食店の営業時間の短縮や外出の自粛などから成る緊急事態宣言が関東、関西、中部、九州の11都府県に出されており、企業の業績回復にマイナスの影響が予想される。吉野家HD、イオンの状況はどうなのか。

吉野家、第3四半期(9-11月)は黒字化

吉野家HDの2021年2月期第3四半期(3-11月)の営業損益は53億3600億円の赤字だった。第2四半期(3-8月)の営業損益は59億7000万円の赤字だったため、第3四半期のみ(9-11月)の営業損益は6億3400万円の黒字となった。同様に第3四半期(9-11月)の経常損益は11億1200万円、当期損益は2億900万円の黒字となった。

売上高も第1四半期(3-5月)が前年同期比75.2%、第2四半期(6-8月)が同78.0%、第3四半期(9-11月)が同85.0%と徐々に前年実績に近づいている。

この間、同社では仕入れコストの低減を含む全社的なコストダウンに取り組んでおり、さらに売上高の回復状況に合わせて変更するとしたうで「国内外の直営店舗で150店舗規模の閉店を見込んでいる」という。こうした取り組みで、売上高が前年度比90%の水準であっても利益を出せる体制を目指す考えだ。

ただ2021年2月期通期の業績予想は、直近の感染者数の増加や営業時間の短縮要請などを踏まえ、87億円の営業損失となる見通しを据え置いた。このままの数字であれば第4四半期(2020年12-2021年2月)は再び大きな赤字に陥る計算になる。

 コスト削減の取り組みによって吉野家HDの損益分岐点は着実に下がっており、どこまで赤字幅を縮小できるのかが今後の注目点だ。

【吉野家HDの2021年2月期の業績推移】単位:億円、通期は予想

  第1四半期 第2四半期 第3四半期 通期
売上高 396.81 819.88 1268.82 1723
営業損益 △49.55 △59.7 △53.36 △87
経常損益 △42.78 △50.04 △38.92 △78
当期損益 △40.87 △57.08 △54.99 △90

イオン、前倒しで回復

一方、イオンは2021年2月期の業績予想を上方修正した。それによると売上高は8兆5000億円で、幅を持たせた前回発表(8兆-8兆4000億円)から1000億-5000億円引き上げた。営業利益は1200億-1500億円で、前回発表比500億-700億円の増益となる。また公表していなかった経常利益も今回1000億-1200億円とした。

食料品、生活必需品、衛生用品の需要拡大に伴い、GMS(総合スーパー)事業の食品部門や、スーパーマーケット事業、ヘルス&ウエルネス事業で売り上げが大きく伸びているほか、ショッピングモールや専門店、総合金融事業なども回復基調にあるという。

このため同社では「業績が全社的に期初の想定より前倒しで回復している」として、上方修正に踏み切った。

【イオンの2021年2月期の業績推移】単位:億円、通期は予想

  第1四半期 第2四半期 第3四半期 通期
売上高 20762.78 42705.32 63925.38 85000
営業損益 △125.52 339.02 681.11 1200-1500
経常損益 △160.72 279.76 589.97 1000-1200
当期損益 △539.73 △575.56 △625.9 未定

製造業や小売り、情報・通信に追い風

東京商工リサーチによると業績を上方修正した551社を業種別にみると、生活様式の変化で需要が伸びた食品、衛生用品、家電製品などを手がける製造業をはじめ、巣ごもり需要が活発だった小売業、テレワーク需要やEC(電子商取引)需要に支えられた情報・通信業が多かった。

売上高の上方修正額が最も大きかったのはイオン(最大5000億円)で、次いで大和ハウス工業(3500億円)、任天堂(2000億円)の順だった。

文:M&A Online編集部

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