新型コロナワクチン1億5700万人分を確保「東京五輪」中止議論に影響も

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写真はイメージです

米国の大手製薬会社ファイザーは2021年1月20日に、日本政府との間で2021年に1億4400万回分(7200万人分)の新型コロナウイルス向けワクチンを日本に供給する最終合意書を締結したと発表した。

すでに日本政府は米国のバイオ企業モデルナと、2021年に5000万回分(2500万人分)のワクチンを日本に供給することで2020年10月29日に正式契約を結んでおり、英国の大手製薬会社アストラゼネカとも、2021年に1億2000万回分(6000万人分)のワクチンを日本に供給することで2020年12月10日に契約を結んでいる。

今回のファイザーとの契約で、日本が2021年に入手できるワクチンは3社合計で1億5700万人分となり、日本人全員に行き渡る数量を正式に確保したことになる。

ただ、供給時期については当初の合意よりも遅れる見込みで、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2021年7月23日までに、何割の日本人にワクチン接種が行われるのか見通しが難しくなってきた。

多くの日本人がワクチン接種済みであれば、高まっている東京五輪中止議論にも少なからず影響を及ぼしそうだ。3社の状況を見てみると。

ファイザー、1200万人分を追加供給

ファイザーは2020年7月31日に、新型コロナウイルスワクチン1億2000万回分(6000万人分)を2021年6月末までに日本に供給することで日本政府と基本合意に達していた。

これが最終合意では数量が2400万回分(1200万人分)増えたものの、時期は年内に変更されており、どの時期に何万人分が供給されるのかは不明だ。

モデルナが2020年10月29日に発表した正式契約の資料では、2021 年上半期中にワクチンの供給を開始するとしており、発表当時は2021年1-6月に4000万回分(2000万人分)を、7-9月に1000万回分(500万人分)を供給すると見られていた。その後スケジュール変更などの発表はない。

アストラゼネカが2020年8月7日に日本政府と結んだ基本合意書では、2021年初頭から1億2000万回分(6000万人分)のワクチンを供給し、このうち3000万回分(1500万人分)については2021年1-3月に供給するとしていた。

これに対し2020年12月10日に結んだ最終合意書では、供給時期についての記載はなくなった。ただ日本政府が2021年2月末からワクチン接種を開始するとしていることから基本合意書からの変更はなかったものとみられる。

上半期の供給量は7100万人分か

これら状況から判断して、2021年1-6月にファイザーが全供給量の半分の3600万人分を、モデルナが2000万人分を、アストラゼネカが1500万人分(1-3月)を日本に供給するとすれば、3社の合計は7100万人分となる。

この数字は日本の人口1億2557万人(2021年1月1日概算値)の56%ほどにあたる。ファイザーが1-6月にどれほど前倒し供給できるのか、アストラゼネカが4-6月に何万人分を供給するのかによって、この数字は変わってくる。

東京オリンピック・パラリンピックの中止議論は次第に本格化しており、3月にも結論が出されるとの見通しが伝えられている。ワクチンの供給量やワクチン接種人数が、この議論を左右する一つの材料になるかもしれない。

文:M&A Online編集部

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