新型コロナワクチンの円滑な接種に向け「パナソニック」など企業の動きが活発化

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写真はイメージです

新型コロナウイルスワクチンの接種開始に向け、企業の動きが慌ただしくなってきた。ワクチンを低温で管理する機器や接種状況を管理するシステムなどが相次いでお目見えしている。

日本政府は2021年2月下旬から医療従事者を対象にワクチン接種を始め、その後高齢者から順に対象者を増やしていく計画で、実際の接種に関する体制の構築は市町村が担う。

円滑なワクチン接種のためにはワクチンの流通や事務処理の効率化が不可欠で、こうした自治体向けビジネスはこれから本格化する。どのような商品やシステムが誕生しているのか。

マイナス70℃を18日間保持

政府は米国の大手製薬会社ファイザー、米国のバイオ企業モデルナ、英国の大手製薬会社アストラゼネカの3社との間で、2021年中に3社合計で1億5700万人分の新型コロナウイルスワクチンの供給を受けることで正式契約を結んでいる。

このうちファイザーのワクチンはマイナス60度-マイナス80度Cで6カ月間の保存が可能で、2度-8度Cだと保存期間は5日間と短くなる。

パナソニックの真空断熱保冷ボックス「VIXELL(TM)」

こうした状況を踏まえ、家電大手のパナソニック<6752>は、ドライアイスなどの保冷剤を用いてマイナス70度Cの環境を最長18日間保持できる真空断熱保冷ボックス「VIXELL(TM)」を開発した。 

一般的な断熱ボックスは、板状の真空断熱パネルの継ぎ目から冷気が漏れる問題を抱えていたが、真空断熱パネルを箱型の立体形状に一体成型し継ぎ目を無くすことで、長期間低温保持を可能にした。 

VIXELL(TM)は、ボックス内に蓄熱ユニットを設置し、蓄熱ユニットの内外に保冷剤を充填することで、温度を維持する。蓄熱ユニットや保冷剤を変えることで、マイナス70度Cのほか、マイナス20度C、2度-8度C温度帯にも対応できる。 

政府が調達するモデルナのワクチンはマイナス20度Cで6カ月間、2度-8度Cで30日間の保存が可能なため、VIXELL(TM)はファイザー、モデルナの両ワクチンで使用できることになる。 近く製薬会社や流通業者などへのサンプル提供を開始し、早期の商品化を目指すという。

データ入力や予約受付業務を効率化

ワクチン接種管理業務を効率化するシステムにも企業の関心が集まっている。AI(人工知能)関連の情報サービスを手がけているAI inside<4488>は、自治体の業務負担の軽減と迅速なワクチン接種を行える環境整備に役立つ「ワクチン接種管理業務ソリューション」の提供を始めた。

紙帳票の文字情報を読み取りデータ化するOCR(光学式文字読み取り装置)機能を活用した仕組みで、ワクチン接種の予診票や接種券から接種情報を読み取り、管理システムに入力する作業を効率化する。

AI insideは文字認識AI技術を保有しており、従来のOCRでは読み取りが困難な手書き文字を高精度で読み取ることができるという。

Webサイトの構築やWebシステム・サービスを手がけるインタークエスト(大阪市中央区)は、新型コロナウイルスワクチン接種の予約受付業務に特化した予約システム「リザエン for コロナワクチン接種予約」の提供を2021年2月中旬から始める。

同予約システムは接種会場ごとの予約枠設定機能や、複数回の接種を想定した予約制御などの機能を有しており、人口10万人の自治体であれば月額20万円で利用できるという。

政府が予定しているスケジュール通りに、ワクチン接種をスムーズに行うには、こうした製品やシステムの活用は重要な要因となりそうだ。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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