営業赤字の「ワタミ」が宅食事業で攻勢 「明治」などと連携も

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ワタミがデリバリーする惣菜(同社ニュースリリースより)

コロナ禍で50億円を超す営業赤字(2021年3月期第2四半期時点)に陥っているワタミ<7522>が、日替わりの弁当や総菜をデリバリーする「宅食事業」で攻勢をかけている。

2021年に入り菓子や乳製品の大手である明治(東京都中央区)と提携したほか、青果専門商社のデリカフーズホールディングス<3392>との協業にも乗り出した。

居酒屋「和民」の焼肉店への業態転換を進めるなど、主力事業である外食事業の立て直しを急ピッチで進めているものの依然として厳しい状況が続いていることから、巣ごもり需要で好調に推移している宅食事業を拡充し、赤字からの脱却を目指そうという作戦のようだ。

コロナ禍による外食事業の不振から、期せずして収益ともにトップ事業に躍り出た宅食事業で、ワタミはどのような手を打とうとしているのか。

ワタミと明治の商品を相互に販売

ワタミは乳製品などの宅配サービスを展開する「明治の宅配」を運営する明治と、相互にそれぞれの宅配商品を取り扱う事業を2021年2月にスタートした。

明治のヨーグルト

ワタミが運営する「ワタミの宅食」で、明治の乳製品「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ」と「明治ミルクで元気」「明治グルコサミン1500&コラーゲン3000」の3種を販売する一方、「明治の宅配」でワタミが供給する弁当や惣菜を販売する。

「ワタミの宅食」は毎日約24万食の日替わりの弁当や惣菜を宅配しており、高齢者食宅配市場でトップシェアを持つ。「明治の宅配」は全国に約3000店ある明治の特約店を通して宅配専用の商品を約250万軒に宅配しており、牛乳宅配市場でトップシェアを持つという。

両社が手を組み栄養強化した乳製品と、健康に配慮した食事をセットで届けることで、拡大する宅配需要の取り込みを目指す戦略だ。

野菜の宅配事業に参入

またワタミは青果を取り扱うデリカフーズホールディングスと協業し「ワタミの宅食」の新商品として野菜を宅配する「旬の野菜BOX」事業を2021年1月にスタートした。

旬の野菜BOX

「ワタミの宅食」の弁当や総菜は夕食用がメインのため、朝食や昼食用に野菜を届けるサービスに需要があると判断した。

買い物の負担を軽減するとともに、新型コロナウイルス対策としての外出自粛に対応することができるとしており、東日本エリアで事業を始め、順次、西日本エリアにも拡大していく。

ワタミグループが運営する農場であるワタミファームの有機野菜を含め、国産野菜7種類以上を詰め合わせており、週ごとに種類を変更するという。

宅食事業の売上高構成比が62%に

ワタミが2020年11月に発表した2021年3月期第2四半期決算によると、売上高は286億2700万円で、前年同期比36.8%の減収となった。損益は営業損益が55億1300万円の赤字、経常損益が47億7800万円の赤字、当期損益が71億5500万円の赤字と全段階で大幅な赤字を計上した。

このうち宅食事業の売上高は177億5400万円で、前年同期比3.8%の増収となった。売上高構成比は62.0%(2020年3月期は37.9%)で、これまでの主力だった国内の外食事業の26.2%(同51.6%)を上回った。

損益の方も宅食事業のセグメント利益が13億1700万円(前年同期比42.9%増)で、国内の外食事業が53億4300万円のセグメント損失だったため、損益面でも大きく上回った。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、デリバリー需要は高まっており、乳製品や野菜などの新商材の投入が消費者のニーズをつかめば、コロナによって生まれた波にうまく乗れる可能性は低くはなさそうだ。

文:M&A Online編集部

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