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ゴルフ場経営者向けWebセミナー「預託金問題からゴルフ場を守るには?」 ストライクが開催

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さくら共同法律事務所の弁護士でゴルフジャーナリストの西村國彦氏(右)、ストライク事業法人部アドバイザーの吉田和弘氏

ストライクは「預託金問題からゴルフ場を守るには?」をテーマにゴルフ場経営者向けWebセミナーを開催した。

さくら共同法律事務所の弁護士で、ゴルフジャーナリストの西村國彦氏が講師となり、預託金問題を乗り越えたゴルフ場などの事例を交え詳しく解説したほか、ストライク事業法人部アドバイザーの吉田和弘氏がゴルフ場の経営問題を解決する手段の一つとしてM&Aによる方法を紹介した。

30年間、ゴルフ場の生き延びに努力

冒頭、西村弁護士は、40歳ごろからゴルフにはまり、それ以降現在までの37年間は、弁護士としての仕事のほかに趣味でもゴルフを中心に活動しており、ゴルフ場再生などをテーマにした書籍も出版するなど「生活のかなりの部分がゴルフに密着しているという不思議な弁護士をやっております」と自己紹介。

そのうえで、1990年代のバブル崩壊で当時日本にあったゴルフ場2400コースのうち、半数近い1000コースが法的に破綻し、その際に日本のゴルフ場の会員を守り、ゴルフ場を存続させるために弁護士として携わってきた経験を踏まえ、ゴルフ場再生の手法などを紹介した。

まず西村弁護士が取り上げたのが、日本のゴルフ場が抱える特殊な問題である預託金問題。ゴルフ場の会員は退会する際に預託金の返還請求ができるが、返金を求める会員が一気に増えるとゴルフ場の経営が難しくなる。

こうしたゴルフ場が存続するための方法として、民事再生や会社更生などの法的な整理と、民事再生や会社更生などの法的手続を経ずに債務を整理する私的整理の2つがあると説明。最初に法的整理の事例として、自身が携わった太平洋クラブの事例を取り上げた。

預託金問題の要因について分析する西村弁護士
預託金問題の要因について分析する西村弁護士

太平洋クラブの事例では

太平洋クラブは、平和相互銀行のグループだったが、 平和相互銀行が現三井住友銀行と合併したのに伴い、太平洋クラブも三井住友銀行系列になり、その後東急不動産に売却されたという経緯がある。

東急不動産に買収されて以降、太平洋クラブが外資企業の傘下に入るとの情報が流れ、会員だった西村弁護士をはじめ、多くの会員は青天の霹靂という思いを抱いたという。

当時はゴルフ場を数十カ所運営する企業の多くが、外資企業の傘下に入っていたが、太平洋クラブでは外資企業の傘下に入ることに抵抗感を持つ会員が多かったと振り返る。

そこで西村弁護士が会員に呼びかけ、外資企業による再生計画案に反対し、過半数の会員から賛同を得ることに成功した。再生計画案が承認されるためには、出席議決権者の過半数の同意が必要なため、外資企業が300億円を拠出する再生計画案は採用されなかった。

さらに、西村弁護士らがこの取り組みと並行して行ったのが300億円を拠出してくれるスポンサー探し。最終的に「会員を助ける」「ゴルフ場のグレードは維持」するなどの10項目の条件を承諾したパチンコ事業を手がけるマルハンがスポンサーとなる再生計画案が会員からの賛同を得て、太平洋クラブの再建がスタートした。

西村弁護士は「現在、太平洋クラブは元気なゴルフ場で、会員権相場もそれなりで、2万人近い会員がおり、非常に勢いのあるゴルフ場になっている」と高く評価する。

このほか、ゴルフ場運営会社と会員側が対立し、最終的にはゴルフ場運営会社側のスポンサーが辞退し、会員側が提出した再生計画案で再建が進んだ奈良県の秋津原ゴルフクラブの事例や、同じくゴルフ場運営会社と会員が対立し、会員側が勝った千葉県の浜野ゴルフクラブの事例などを紹介した。

私的整理についても「会員権の買い取り」や「ゴルフ場運営会社が存続する限り預託金は返さなくてよい永久債の導入」「預託金の株式への変換」「事業譲渡や会社分割」「預託金の放棄」などの方法を解説した。

最後に太平洋クラブの歴史を振り返り、平和相互銀行、三井住友銀行、東急不動産、マルハンとオーナーが変わり、その後、太平洋クラブが複数のゴルフ場を買収(現在の保有ゴルフ場は18コース)したことを紹介。こうした流れをみて「ゴルフ場の法的再生あるいは私的再生は、一種のM&Aであると考えてもいいのではないか」と結んだ。

預託金問題からゴルフ場を守る方法は

セミナーではこのあとストライク事業法人部アドバイザーの吉田和弘氏が「課題解決策としてのM&Aの活用」をテーマに、預託金問題からゴルフ場を守る方法について解説した。

まずはゴルフ場の最近のトレンドについて、ゴルフ場の利用者数がコロナ禍による特需で年1000万人を超えていることや、利用者の増加に伴って関東圏での会員権の価格が上昇していること、一方で利用者数の増加は首都圏、北海道、九州のみにとどまり地域差が生じていること、大手による寡占が進んでいることなどを、グラフを用いて説明した。

さらに、ゴルフ場の経営状況に触れ「ここ3年ほどは利用者が増え、P/L(損益計算書)は良化したが、B/S(貸借対照表)の観点では預託金返還問題は改善が進んでおらず依然として課題が残る」と指摘。そのうえで、預託金問題を抱えているゴルフ場からは、私的整理での経営者交代を望む声が多く寄せられている現状を解説した。

「ゴルフ場の経営課題はM&Aで解決できる」とストライクの吉田氏
「ゴルフ場の経営課題はM&Aで解決できる」とストライクの吉田氏

こうしたゴルフ場の経営課題について「M&Aで解決できる時代になっている」とし、とりわけゴルフ場業界は後継者不在型のM&Aのみならず「経営課題を解決する手段としてのM&Aが増加している」点を強調。ドミナント戦略等に基づく買収サイドのM&Aのサポートも可能だとして、「ゴルフ場の買収、譲渡に関心があれば、気軽に相談いただければ」と締めくくった。

文:M&A Online記者 松本亮一

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