猟銃の製造販売をするミロク<7983>の2020年10月期売上高は予想比0.25%増の136億3,500万円、営業利益は14.6%増の5億6,200万円で着地となりました。新型コロナウイルスの感染拡大によって、クレー射撃などの競技で使われる上下二連銃の販売が落ち込んだ一方、大型動物の狩猟に使われるボルトアクションライフルが販売計画を上回りました。ミロクの株価は上方修正により、発表前8日の終値1,586円から10日には1,787円まで12.7%上昇しています。

アメリカでは、新型コロナウイルスによる先の見えない不安感や、警察官による黒人殺害を引き金とした暴動、民主党のバイデン氏が政権を握ることによる銃規制強化前の駆け込み需要から、銃の販売数が異常ともいえる数を記録しました。月間250万件を下回る販売数が、2020年6月には393万件と1.5倍に跳ね上がったのです。

日本では有害鳥獣とされるシカやイノシシの捕獲数が年々増加し、ジビエブームともいえる状況に近づきつつあります。外食産業は専門店化が進んでおり、ジビエレストランは新たな業態として注目を集めています。

この記事では以下の情報が得られます。

・ミロクの事業内容と業績推移
・アメリカの銃の販売状況
・国内のシカ・イノシシ捕獲数推移

クレー射撃愛好家オバマ前大統領を魅了した銃

ミロク銃
ミロク「2019年10月期決算説明資料」より

ミロクは1946年設立で、猟銃の製造販売の他、ガンドリルマシンなどの工作機械や自動車関連部品の製造なども行っています。鉄砲職人の弥勒武吉氏が、第二次世界大戦中に日本軍向けの銃器の製造に携わったことに端を発しています。会社設立当初はGHQが銃器の製造を禁止していたため、捕鯨銃を製作していました。

日本が主権を回復した1951年に銃器の製造が解禁され、散弾銃を手掛けるようになります。1952年にバレルが水平に2つ並んだ水平二連銃を開発。1961年にはクレー射撃で頻繁に使われ、現在の主力銃となる上下二連銃の製造を開始しました。

銃の製造技術の高さから、アメリカの銃器設計者ジョン・ブローニングが設立した老舗銃メーカーブローニング・アームズと1966年に提携。小銃や散弾銃をミロクがライセンス生産しています。ミロクがOEMで製造したブローニングの上下二連銃は、クレー射撃愛好家のオバマ前大統領が使用していたことでも話題になりました。

競技や狩猟目的の銃を販売する国内の銃メーカーは、ニッコー(後のオーケー工業)やSKB工業がありましたが、どちらも廃業してミロクが唯一の生き残りとなっています。かつてミロクの銃は国内・海外ともに販売代理店を通して流通していました。1972年に日本油脂(現在の日油<4403>)と合弁でニッサンミロク株式会社を設立したことにより、自社ブランドでの販売体制を確立しています。

銃の年間販売数はおよそ12万丁。そのうち輸出は99%となっています。特にアメリカへの依存度が高く、80~85%を占めています。

■ミロク売上高・営業利益推移(単位:百万円)

  2017年10月期 2018年10月期 2019年10月期 2020年10月期
売上高 12,549 13,509 15,368 13,635
増減 - 107.7% 113.8% 88.7%
営業利益 1,108 954 1,149 562
増減 - 86.1% 120.4% 48.9%   

※ミロク決算説明資料より筆者作成

上方修正したとはいえ、2020年10月期の売上は前期と比較すると12%近くダウンしています。これは新型コロナウイルスで、主力の上下二連銃の販売数が振るわなかったことが主要因です。

2019年10月期は猟銃の販売が好調でした。これは米国好景気の影響を受けたものです。付加価値の高い高単価商品が全体を押し上げました。好調だった2019年度と比較して、猟銃の売上の減少幅を10%に留めたのは健闘しているといえます。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は射撃場を閉鎖へと追い込むほどのものだったからです。この時期にミロクを支えたのが、アメリカの銃市場の盛り上がりでした。

■事業別売上高推移(単位:百万円)

  2017年10月期 2018年10月期 2019年10月期 2020年10月期
猟銃 7,879 7,505 8,161 7,403
増減 - 95.3% 108.7% 90.7%
工作機械 2,615 2,731 3,045 2,433
増減 - 104.4% 111.5% 79.9%
自動車関連 2,078 3,318 4,168 3,953
増減 - 159.7% 125.6% 94.8%