2018年の「IT・ソフトウェア」業界のM&Aは前年より14件多い116件(12月18日現在)。「その他サービス」の115件を僅差で抑え、2年連続で業種別M&A件数のトップとなった。今年の買収額ベスト5を見てみよう。

第1位 オーネット(推定250億円)

楽天<4755>が子会社で結婚情報サービス事業を手がけるオーネット(東京都世田谷区。業績は非公表)の全株式を、投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(東京都千代田区)に譲渡することを決めた。

オーネットは1980年設立で、結婚相手紹介サービス事業を展開し、2007年に楽天傘下に入った。従業員は505人(2018年1月時点)。譲渡価額は非公表だが約250億円とみられ、2019年に新規参入する楽天の携帯電話事業に充てられるという。(11月28日発表)

第2位 韓国ナット・ゲームズ・カンパニー・リミテッド(147億円)

ネクソン<3659>は、モバイルゲーム開発会社で韓国KOSDAQに上場するナット・ゲームズ・カンパニー・リミテッド (ソウル。売上高22億7000万円、営業利益△3億7900万円、純資産29億9000万円)の株式約30%を追加取得し、連結子会社化(実質支配基準)することを決議した。韓国子会社のネクソン・コリア・コーポレーション (韓国京畿道)を通じて現在18.6%の持ち株比率を49.1%まで高める。

ネクソングループは2016年4月、ナット・ゲームズと戦略的パートナーシップの構築を目的に提携し、同社を持分法適用関連会社とした。今回、協業関係をさらに強化するため、実質的に子会社化することにした。(5月28日発表)

第3位 サイバード(70億円)

アエリア<3758>は、モバイルコンテンツサービスのサイバード(東京都渋谷区。売上高95億円、営業利益2億1300万円、純資産31億円)の全株式を取得し子会社化することを決議した。

サイバードはモバイルコンテンツで定評があり、なかでも女性向け恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」は2010年に配信開始以来、累計1700万ダウンロードを誇る代表作。アエリアはスマートフォン・タブレット端末向けアプリゲームを主力としており、サイバードを取り込むことにより、デジタルコンテンツ市場での優位性を確保する。

今回、サイバードの筆頭株主(所有割合87%)であるファンド運営会社・ロングリーチグループから株式譲渡の打診があったという。(5月28日発表)

第4位 米Fracta,Inc(約40億円)

栗田工業<6370>は、増資引き受けと既存株主からの取得により、Fracta,Inc(米デラウェア州。資本金740万ドル=約8億3000万円、売上高、営業利益、純資産は非公表)株の50.1%を取得し、子会社化することを決議した。Fracta,Incの100%子会社 Fracta(米カリフォルニア州)が人工知能(AI)や機械学習を利用した水道管の劣化予測ソフトウエアサービスを手がけている。

米国では水道管の劣化が深刻な問題になっており、栗田工業は水道事業者やメンテナンス業者向けに劣化予測サービスの需要が伸びると期待している。今後は営業や開発の体制を強化し、5年後の2023年に同サービスで年間売上高 3000万ドル(約32億5000万円)を目指す。(5月30日発表)

第5位 トライフォート(36億2000万円)

ユナイテッド<2497>は、スマートフォン向けアプリ開発を手がけるトライフォート(東京都渋谷区。売上高16億円、営業利益8060万円、純資産4億9000万円)の株式75%を取得し子会社化することを決議した。

トライフォートは2012年設立で、スマホ向けアプリやウエブサービスの開発・運営を主力とし、多数のヒット作を持つ。ユナイテッドは広告プラットフォームを運営するアドテクノロジー事業、スマホ向けゲームアプリを提供するゲーム事業などを重点展開しており、経験豊富な開発組織や人材を抱えるトライフォートを取り込むことにより、ゲーム事業の成長戦略を推し進める。(9月27日発表)

1000億円を超える超大型案件はなかったが、次世代サービスの要となる業界だけに、有望な技術を持つ企業が活発に売買された格好だ。この傾向は2019年も続くとみられる。3年連続で業種別トップとなる可能性も高そうだ。

文:M&A Online編集部