帝国データバンクによると、2018年の人手不足倒産件数は153件で前年比44.3%の増加となりました。負債総額は223億7700万円。件数は3年連続の増加となり、2016年の72件と比較すると、2018年は2倍以上も伸びています。販売不振などのいわゆる不況型倒産は2017年比で5.9%減少しており、人手不足を背景とした倒産が鮮明に。2018年のサービス業人手不足倒産は前年比52%も増加して41件。飲食企業は、人材獲得コストが上昇し、人件費も上昇、定着率は悪化するという、三重苦に見舞われています。

アルバイト時給は2016年比で5ポイントアップ

帝国データバンク
全国倒産集計

上のグラフは2014年から2018年までの、人手不足を理由とした倒産件数の推移です。2017年から件数が急増しています。業種別でみると、サービス業が51.9%増の41件。これは建設業の46件に次いで2番目。この2業種だけで全体の半数以上を占めている構図です。

人手不足倒産の上位3業種は以下のとおりです。

2017年2018年増減率
建設業294658.6%増
サービス業274151.9%増
運輸・通信業163087.5%増

建設業、サービス業は慢性的な人不足に悩まされており、運送ドライバーは需要が急増しました。

下の表は未充足求人の産業別一覧です。飲食などのサービス業、運送、福祉・介護が突出して悪いです。未充足求人が6割を超えています。いくら募集をかけても人が集まらない状態です。欠員率上位のほとんどをサービス業が占めています。

産業別未充足求人の有無
産業別未充足求人の有無

かつて大学生のアルバイト先として、飲食店やホテルは鉄板分野でした。

しかし、近年ではIT企業やスタートアップ企業がインターンの募集をかけるケースが目立ちます。インターンはもともと無償の就業体験という意味合いが強かったですが、今では時給1,000円~1,500円で獲得するのが当たり前。学生はホワイトカラーの仕事を体験でき、プログラミングスキル習得や営業インセンティブが発生する魅力に惹かれているのです。企業にとっても賢い大学生は貴重な戦力となっています。

お金を稼ぎたい大学生からすると、選択肢が増えた状態。そうなると当然、アルバイトの獲得競争は過熱します。下のグラフは、エリア別のアルバイト平均時給の推移です。首都圏、関西の2018年12月の時給は2016年12月比でおよそ5ポイントアップ。関西では2018年にとうとう1,000円を超えました。人が集まらない分野は、時給を上げて獲得するほか手が打てません。

リクルート平均時給調査
リクルート平均時給調査より筆者作成

デフレで提供するサービスの価格下落圧力が激しくなる上に採用単価が上がり、賃金も上昇している状態です。しかもサービス業はアルバイトの定着率が悪く、抜けた穴を社員がカバーするケースが多数発生しています。それが労働環境の悪化を招き、正社員離れにつながる悪循環となっています。やがて十分なサービスを提供することができず、倒産へと至るのです。