2019年1月7日、2019年のビジネスが本格スタートした。今年は5月に元号が変わる節目の年であり、東京オリンピックを翌年に控え準備が佳境に入る年でもある。さらに、ぎくしゃくした日韓関係や、米中貿易摩擦などに改善の兆しは見えず、株価は下降局面にある。
そうした状況の中2019年のM&A事情はどのようなものになるのか。まずは2018年のM&Aを振り返ってみると…。
2018年のM&Aは件数、金額ともこの8年間で最高
M&A Onlineが適時開示情報をもとにまとめたM&Aデータベースで検索すると、2018年は781件のM&Aがあり、金額は13兆7860億円に達した。これはM&Aデータベースで公開している2011年以降の8年間で件数、金額とも最高になった。
武田薬品工業<4502>が2018年5月8日に発表したアイルランドの大手製薬会社シャイア―買収の約7兆円をはじめ、ルネサスエレクトロニクス<6723>による米国の半導体メーカーIDT買収の7330億円、日立製作所<6501>によるスイスABBの送配電事業買収の7140億円といった具合に、大口のクロスボーダーが活発だったのが記録更新につながった。
ちなみに1000億円以上の大型M&Aは2018年は20件あり、このうち19件がクロスボーダーであった。クロスボーダーの総件数は174件で、全体の22.3%を占めた。
これまでの最高は、件数では2017年の754件、金額では2016年の12兆4308億万円、1000億円以上の大型M&Aの件数は同じく2016件の20件であった。
一本調子の右肩上がりではないものの、件数、金額、1000億円以上の大型M&Aの件数はかつてない高い水準にある。では2019年もこの調子で活況のまま推移するのだろうか。
年 | M&A件数 | 取引総額 | 1000億円以上のM&A |
---|---|---|---|
2018年 | 781件 | 13兆7860億円 | 20件 |
2017年 | 754件 | 7兆3316億円 | 14件 |
2016年 | 721件 | 12兆4308億円 | 20件 |
2015年 | 653件 | 5兆9090億円 | 11件 |
2014年 | 665件 | 3兆6237億円 | 7件 |
2013年 | 640件 | 3兆954億円 | 6件 |
2012年 | 748件 | 6兆8584億円 | 12件 |
2011年 | 680件 | 4兆8512億円 | 8件 |