2018年の食品業界のM&Aは前年並みの20件程度(適時開示ベース)となりそうだ。突出したのは1000億円を超える大型買収を2件手がけたJT(日本たばこ)。油脂大手の不二製油グループ本社は世界3位の業務用チョコレートメーカーの米ブロマー・チョコレートを傘下に収める。

カルビー、森永製菓、味の素はアジア子会社を譲渡

1年を通じて比較的目立ったのが海外子会社を売却する動き。

フィリピン子会社を譲渡した

カルビーはフィリピンでスナック菓子を製造する子会社カルビーURCを合弁相手の企業に譲渡した。同社は2014年にフィリピン市場に参入するため、現地スナック菓子メーカーのURCと合弁で子会社を設立。しかし業績が思うように伸びず、赤字が続いていた。ただ、合弁契約を解消後もURCにライセンスを供与し、カルビーブランドのスナック菓子の製造・販売を継続する。

森永製菓はインドネシアで粉飲料の製造・販売を手がける子会社Morinaga Kinoを合弁相手に譲渡する。森永は2013年にインドネシア市場の開拓とイスラム教徒が口にすることができるハラル商品の生産拠点確保を目的として進出したが、同国での粉飲料市場が縮小したことなどから、撤退を決めた。

味の素は調味料や冷凍食品を製造する香港アモイ・フードを香港系投資会社に譲渡することを決めた。味の素は2006年に仏ダノン・グループからアモイ・フードを買収し、「AMOY」ブランドで事業を展開してきた。ただ、近年、海外食品事業で「味の素」ブランドの確立を強力に推し進めている。

不二製油グループ本社は大豆たんぱく製品を製造する中国子会社・吉林不二蛋白有限公司をマレーシア企業に譲渡する。1994年に設立し、業歴は長いが、最近は中国市場での競争激化などで厳しい経営環境に直面していた。

千趣会、食品通販会社を雪印メグミルクに売却

キユーピーは、コンビニ向け弁当、おにぎり、総菜などの事業を手がけるグルメデリカを三菱商事に譲渡した。グルメデリカの主力取引先であるローソンの親会社である三菱商事から譲渡の要請があった。その一方で、三菱商事はコーヒー豆の焙煎や販売を行うアートコーヒーを、ユニカフェに譲渡することを決めた。ユニカフェはアートコーヒーを傘下に取り込むことで、コーヒー焙煎豆の取扱量でトップクラスに立つ。

経営再建中の千趣会は、食品通販子会社のベルネージュダイレクト(BND)を雪印メグミルクに譲渡することを発表した。BNDは機能性食品や内祝いギフトなどの通販事業を主力とする。雪印メグミルクは機能性食品事業の強化を打ち出している。