経済産業省と国土交通省が垂直離着陸で飛行できる「空飛ぶクルマ」の実証実験を、2019年に東京、大阪、福島、三重の4都府県で実施する。国内企業はもとより、欧エアバスや米ボーイングも参加する予定で、実現すれば渋滞緩和や陸送のスピードアップにつながると期待されている。国は早期の実用化を目指すとしているが、実現は容易ではない。空飛ぶクルマが越えなくてはならない三つのハードルを検証しよう。

1.完全自動操縦の実現

航空機の事故が悲惨なのは言うまでもないが、超小型とはいえ1トン前後になる空飛ぶクルマが墜落すれば、都市部上空を飛行する頻度が高いことから地上を巻き込む惨事になるのは間違いない。特に操縦ミスは致命的で、完全自動操縦が必須となる。

空飛ぶクルマの開発も自動操縦を前提に進められている。旅客機では自動操縦は当たり前だが、空飛ぶクルマはそう簡単ではない。まず、初期はともかく、普及が進めば飛行する台数は航空機の比ではなくなる。

離着陸地も空港だけではない。仮に空飛ぶクルマの離発着場が限定されるにしても、その数は空港よりもはるかに多くなるはずだ。運用機体と離着陸地点の数が大幅に増えるため、航空管制の難度は航空機の比ではない。

航空管制という一元処理でなく自律的な分散処理でこなすとなると、さらに高度な自動操縦システムを開発しなくてはならない。地上の完全自動運転ですら実用化が見えない状況だが、空中の自律的な自動操縦のハードルは段違いに高い。

実用化のメドが立っていない自動運転車に比べても、はるかに難度が高い「空飛ぶクルマ」の自動操縦(国交省ホームページより)