2018年も日本企業による大型M&Aは活発に推移した。金額の大きさだけでなく、何かと注目を集めた案件をピックアップする。

1月…富士フイルムが米ゼロックス買収を発表、後に「暗転」へ

米ゼロックスの買収、事実上困難に

1年の始まりを告げたのは富士フイルムホールディングス(HD)による米事務機器大手、ゼロックスの買収発表だった。買収金額は6710億円(50.1%取得)に上り、日米をまたぐ大型M&Aとして注目された。ところが、4月末を境に事態が暗転した。

ゼロックスの大株主で「もの言う株主」として知られるカール・アイカーン氏らが買収阻止に出たのをきっかけに、両社間の訴訟合戦に発展。富士フイルムは表向き買収を諦めていないが、実現はほぼ不可能な情勢のまま、年を越す。

金融関連で大型案件があった。第一生命ホールディングスは米生保のリバティライフが保有する既存契約を1400億円で買収。もう一つは楽天による朝日火災海上保険(現楽天損害保険)の買収(約450億円)。既存の銀行、証券、生保に続き、損保を戦列に加え、グループ内で金融業務をフルライン展開する体制を整えた。

2月…コシダカHD、女性フィットネスの米カーブスを子会社化

1000億円超の大型案件はなかった。身近なところでは、コシダカホールディングスによる米カーブス買収(約185億円)。コシダカHDは米国発の女性向けフィットネスクラブとして知られる「カーブス」を全国で1800店以上展開するが、その“本家”を買収して世界的なフランチャイザーの立場となる。

微細藻類のミドリムシを活用した製品開発で知られるユーグレナは健康食品販売のフック(東京都)を子会社化した。機能性食品・化粧品などヘルスケア事業の拡大につなげるのが狙い。

3月…JTと東レが大型買収、RIZAPはサンケイリビングを傘下に

日本たばこ産業(JT)はロシアのたばこメーカー4位、ドンスコイ・タバックを約1900億円で、東レはオランダの炭素繊維メーカーのテンカーテを1230億円で買収すると発表した。JTは国内市場が縮小する中、M&Aを軸に海外事業を強化している。東レにとっては過去最大のM&Aだ。

遊戯機械大手の三精テクノロジーズは同業のオランダVekoma Ridesの全株式を166億円で取得。三精は2012年に、米国の同業S&S Worldwideを傘下に収めており、世界トップの遊戯機械メーカーを目指す。

RIZAPグループは、フリーペーパー「リビング新聞」「シティリビング」などを発行するサンケイリビング新聞社(東京都)を買収した。RIZAPは2017年に、フリーペーパー首位のぱど(東京都)を傘下に収めている。

4月…マネックス、仮想通貨のコインチェックを買収

M&Aを経営戦略の軸に据える日本電産は米国の冷蔵庫用コンプレッサーメーカー、エンブラコを約1175億円で買収すると発表した。同社のM&Aとして、2017年に米エマソン・エレクトリックから産業用モーター事業などを約1200億円で買収したのに次ぐ過去2番目の規模だ。

伊藤忠商事はユニー・ファミリーマートホールディングスの子会社化を発表。8月に約1200億円を投じてTOB株式公開買い付け)を実施し、傘下に収めた。

マネックスグループは仮想通貨「NEM」の外部流出問題で経営危機に陥っていた仮想通貨交換業のコインチェック(東京都)を36億円で子会社化した。また、東京センチュリーは神鋼不動産(神戸市)を約700億円で子会社化。神鋼不動産の親会社、神戸製鋼所としては一連のデータ改ざん問題を抱え、子会社売却で財務基盤を強化する狙いがあった。