TOB(株式公開買い付け)の勢いが止まらない。年明けから1カ月半足らずで20件(届け出ベース)に到達し、17年ぶりに年間100件の大台に乗せた前年(100件ちょうど)より2カ月もペースが速い。2月19日時点ではさらに26件まで件数を伸ばし、このままでいけば2年連続の100件台が確実な情勢で、“TOB3ケタ”時代の足音が日増しに高まっている。
今年のTOBが20件に達したのは2月13日(前年は4月15日)...
2024年のTOB(株式公開買い付け)件数は前年比35%増の100件(届け出ベース)となった。年間100件の大台乗せは2007年(104件)以来17年ぶり、2度目だ。歴史的な活況下、証券会社による「公開買付代理人」の座をめぐる争いも白熱した。
今年、買収先の同意を得ないまま、TOBを提案するケースが2件起きている。提案したのはブラザー工業とAZ‐COM丸和ホールディングス。前年も同様のケースが2件あったが、いずれも買収は成功。ところが今年は一転、2件そろって旗色が悪いのが実情だ。
金融庁は3月2日の金融審議会総会に、株式公開買い付け(TOB)の対象拡大や大量保有報告制度における共同保有者の範囲の明確化などについて検討した。いずれも株式大量取得に関するルールで、2006年の改正以来17年ぶりの見直しとなる。
任天堂創業家の資産運用会社YFOが東洋建設に対し、全株取得を目的とするTOBを予告し株式市場から注目を集めている。TOB実務に詳しい柴田堅太郎弁護士に、本事案を理解する上で重要となる事項を整理してもらった。