西武から楽天に移籍する浅村栄斗内野手に関して、スポーツ紙が「最大年俸9億円」という超破格契約が結ばれた可能性が出てきた」と報じた。

4年で最高36億円に 

当初は4年で20億円と推定されていたが、4年で32億-36億円になる可能性があるという。

浅村選手の獲得にはソフトバンクや楽天などが動き、西武が4年で20億円、ソフトバンクが4年で28億円の条件を示していたが、楽天の金額はこれらを大きく上回ることになる。

野球選手の移籍は企業のM&Aと同じような側面がある。M&Aでは企業の財務内容や簿外債務、将来性、シナジー効果などをしっかりと調査(デュデリジェンス)し、買収金額をはじき出す。

野球選手も能力(財務内容)、怪我の状態(簿外帳簿)、将来性(将来性)、チーム事情(シナジー効果)などを考慮して、年俸が決まる。

浅村選手の場合、能力や怪我の状態については明白なため3球団の判断に大きな差はなさそうだ。このため金額の差となったのは将来性とチーム事情ということになる。楽天は西武とソフトバンクよりも、この部分を高く評価したわけだ。

2018年のシーズンで西武はリーグ優勝を果たし、ソフトバンクは日本シリーズで優勝した。両チームとも戦力は充実している。一方、楽天は2018年はリーグ最下位だった。戦力は西武、ソフトバンクに比べると見劣りがするのは否めない。

実力のある有名選手を獲得することは、楽天にとっては大きな課題であり、そのために他チームよりも高い金額を支払うのは納得できる。

M&A ではPMIということばがある。PMIはPost Merger Integrationの略で、M&A 成立後の統合プロセスを指す。買収後の企業の経営を誰が行うのか、どのように経営するのかをいう。

日本企業が海外企業を買収した際には、このPMIが極めて重要になる。買収した企業が日本企業の指示に従わず、勝手な経営を行えば、買収したメリットが出ないばかりか、足枷になる場合すらある。

東芝を経営危機に追い込んだ原発大手の米国ウェスチングハウス・エレクトリックの売却は記憶に新しい。このほかにもNTTドコモによる米国携帯電話会社AT&Tワイヤレスの売却や、パナソニックによる米国映画会社MCAの売却など失敗事例は多い。

これまで日本企業はPMIがうまくいかず、高く買い安く売るという痛手を負ってきた。

浅村選手が楽天に移籍後、海外企業のような行動をすることはないだろうが、楽天の文化やチームの雰囲気になじめるのか、期待していた成績を残すことができるのか、PMIの視点からは気になる点がいくつかある。

「4年で最高36億円」を上回る浅村選手の活躍を期待したい。

文:M&A Online編集部