2020年上期(1~6月)のM&A件数(適時開示ベース)は前年同期を11件上回る406件で、4年連続で増加し、上期として2009年(439件)以来11年ぶりの高い水準となった。新型コロナウイルス感染にもかかわらず、件数の上では影響を跳ねのけた形だ。
一方で、上期の取引金額は1兆4671億円と前年同期(2兆1605億円)に比べ約32%減った。とりわけ、緊急事態宣言と重なった4~6月は3501億円にとどまり、過去10年間で2013年(3481億円)と並ぶ最低レベルまで落ち込んだ...
6月のM&Aは前年同月比8件増の55件だった。6月として過去10年間で最多。ただ、海外案件は9件と2018年6月以来2年ぶりに1ケタにとどまり、国内回帰の構図が鮮明に。案件の小型化も顕著で、新型コロナ感染による慎重姿勢の広がりがうかがえる。
2020年1~3月期の企業別のM&A件数(グループ内再編を除く)を適時開示情報に基づき集計したところ、三井松島ホールディングスが5件(うち1件は売却案件)で最も多かった。同社は非石炭事業への経営多角化に向けてM&Aを推し進めているが、一気にアクセルを踏み込んだ形だ。
2019年のM&A総数は前年を59件上回る841件と4年連続で増加し、08年(870件)以来の高水準となった。また、年間800件台に乗せるのは09年以来10年ぶり。取引総額は8兆1201億円で、18年、16年に次ぐ3番目だった。
建設業界では、入札できる営業エリアが限られているため、同一地域や隣接地域のM&Aが多い。その中でも目立つのは、等級の高い現場監督や500万円以上の工事を受注する際に必須となる建設業免許の獲得を目的に中小企業を子会社化する案件だ。