2020年1~3月期の企業別のM&A件数(グループ内再編を除く)を適時開示情報に基づき集計したところ、三井松島ホールディングス(HD)が5件(うち1件は売却案件)で最も多かった。同社は非石炭事業への経営多角化に向けてM&Aを推し進めているが、ここへきて一気にアクセルを踏み込んだ形だ。

2位はシステム構築・運用大手のTISの3件。1社で2件のM&Aを手がけたのは大王製紙、パートナーエージェント、イワキ、SHIFTなど16社あった。

「非石炭」拡充へM&Aで推進

1~3月期のM&A開示件数は前年同期比10件増の232件と2年連続で増加し、2009年(252件)以来の高水準となった。

その中で、ダントツで1位となった三井松島HDが開示したM&Aは買収4件、売却1件の計5件(表参照)。同社による前年のM&Aは年間を通じて買収1件だけだった。今回の5件は業種もモノづくり、ペットフード、衣料品など多岐にわたるが、うち3件は過去に手がけたM&Aに関連しており、「選択と集中」の一端がうかがえる。

同社は2月、タイT SECURE INTERNATIONALを子会社化すると発表した。T SECUREは昨年買収したシュレッダー国内最大手、明光商会(東京都中央区)のタイにおける協力工場だ。

また、3月には傘下の花菱縫製(さいたま市)と、メルボ紳士服工業(大阪府枚方市)を中核とするメルボグループのオーダースーツ事業を統合することで基本合意した。花菱縫製は1935年に創業したオーダースーツの老舗で、2015年に三井松島グループ入りした。

三井松島HD傘下の花菱縫製が展開する直営店舗(東京・銀座)

1月には企業の保養所・研修所などを受託運営するエムアンドエムサービス(大阪市)を大和証券グループ本社系列の投資会社に売却。2012年に買収したが、今後の事業展望を検討した結果、切り離しを決めた。

三井松島HDは1913年に炭鉱経営を目的に創業。2001年に国内炭鉱を閉山後は、豪州を中心に炭鉱開発に乗り出した。国内では石炭以外の分野で新事業を模索し、2010年代以降はM&Aを積極化してきた。現在では電子部品、飲料用食材(ストローなど)、衣料品、介護などの新規分野が全売上高の3割程度を占める。

◎1~3月期:三井松島HDが発表したM&A

3月 傘下の花菱縫製と、メルボグループのオーダースーツ事業を統合
水晶デバイス生産設備の三生電子(東京都狛江市)を子会社化
2月 ペットフード輸入販売のケイエムテイ(大阪府泉大津市)を子会社化
タイのシュレッダー協力工場T SECURE INTERNATIONALを段階的に子会社化
1月 保養所など受託運営子会社のエムアンドエムサービス(大阪市)を売却

TIS、内外で3件の買収

3件のM&Aを開示したのはTIS。米のモバイル決済サービス企業Sequent Software、タイのIT企業MFECの海外2社のほか、千代田化工建設の傘下企業からIT事業を傘下に収める内容。

2019年に年間5件のM&Aに取り組んだSHIFT(ソフトウエアテスト事業)、第一交通産業(タクシー事業)も1~3月期に2件を手がけ、コンスタントなペースを維持している。

ユアサ商事、全国保証、JKホールディングス(建材商社)、JMDC(医療情報サービス)、グッドライフカンパニー(投資用マンション事業)、サンオータス(輸入車販売)の6社は前年ゼロ(年間)だったが、今年は早くも複数のM&Aに取り組んだ。

◎1~3月期:2件以上のM&Aを開示した企業(18社、HDはホールディングス)

5件=三井松島HD
3件=TIS
2件=GFA、JKホールディングス、JMDC、SHIFT、UTグループ、イワキ、グッドライフカンパニー、サンオータス、じげん、全国保証、第一交通産業、大王製紙、テクノホライゾン・HD、パートナーエージェント、ファーマライズHD、ユアサ商事

文:M&A Online編集部