日韓関係悪化の中、企業買収が回復傾向に
韓国関連のM&A件数が回復傾向にある。2019年上期(1-6月)に2件にとどまっていたのが、7-9月に3件増え、5件となった。 日韓関係の悪化がM&Aに与える影響は小さそうだ。
日本M&Aレビュー 2019年第3四半期|フィナンシャル・アドバイザー
2019年1-9月期の日本関連M&A公表案件は、13.9兆円と過去最高を記録した前年同期から52.6%減少となった。1000億円超の案件は34件、総額8.8兆円が公表され前年同期比では61.4%低下した。全体の案件数は2678件と、前年同期比10.2%減少したものの、過去最高となった前年に次ぐレベルとなった。
ターゲット側の業種別でみると、ハイテクノロジーが2.6兆円と全体の19%を占めて首位。続くエ業と食品·雑貨は、1.8兆円、1.7兆円を記録しそれぞれ13.5%、12.1%を占めた。
マーケット別でみると、今期最も活発だったのはIN-OUT案件で、前年同期比53.3%減の7.2兆円、2010年以降では3番目の高水準となった。これにはアサヒグループホールディングスによるカールトン・アンド・ユナイテットブリュワリーズ買収案件(1.2兆円)が寄与している。同案件は対豪案件としては2015年の日本郵便によるトール·ホールディングス買収(7145億円)を抜き過去最大となった。日本は海外企業の買収国としては米国、香港に次ぐ3位、中国は10位に転落した。
国内案件は、4.9兆円と前年同期では13%減少となったが過去10年でみると3番目の高水準。今期の国内最大案件はフォートレス・インベストメントグループ傘下のサッポロ合同会社によるユニゾホールディングス買収案件(5524億円)で、同案件は日本企業が関与する商業用不動産業では1980年の集計開始以来過去2番目の規模。ヤフーによるZOZO買収案件(4007億円)は通信販売業で過去最大となった。
完了案件は、前年同期比74.4%増となる23.3兆円、案件数は1912件に達した。
韓国関連のM&A件数が回復傾向にある。2019年上期(1-6月)に2件にとどまっていたのが、7-9月に3件増え、5件となった。 日韓関係の悪化がM&Aに与える影響は小さそうだ。