東証適時開示ベースで、8月のM&Aは前年同月比14件減の72件となった。前年を下回るのは5月以来の今年2回目。ただ、月別では3月82件、2月77件に続く今年3番目、8月としても過去10年間で最多だった昨年に次ぐ2番目の高水準をキープしている。

金額トップは不動産・ホテル業を手がけるユニゾホールディングスの完全子会社化を目的とする米投資会社フォートレス・インベストメント・グループのTOB株式公開買い付け)案件で、最大1368億円に上る。DICは約1162億円を投じて、ドイツ化学大手BASFから顔料事業を買収することを決めた。

友好的TOBが進行中のユニゾホールディングスが運営すビジネスホテル(都内)

太陽光発電関連で売却案件が2件

全上場企業に義務付けられた東証適時開示のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

8月のM&Aの総開示件数72件の内訳は買収56件、売却16件(買収側と売却側の双方が開示したケースは買収側でカウント)。このうち、海外案件は買収15件(国内企業が買収ターゲットの案件を含む)、売却3件だった。

なかでも売却総数(16件)は4月と並んで今年最も多かった。業種は多岐にわたるが、国内案件で最近目立つのが太陽光発電関連。国が決める固定買取価格が年々引き下げられ、事業環境が悪化していることが背景にある。

FHTホールディングスは子会社が保有する香取低圧15区画太陽光発電所(千葉県香取市)を、東時証券投資顧問(東京都品川区)に約3億円で譲渡(10月)する。ジー・スリーホールディングスは8月末、福岡県内で太陽光発電事業を手がける子会社の永九能源(東京都品川区)を11億3500万円でユニ・ロット(大阪市)に譲渡した。

ユニゾへの友好的TOB、株価の推移次第か?

米フォートレスがユニゾホールディングスに対してTOB実施を発表したのは8月16日。ユニゾをめぐっては当時、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)の敵対的TOBが進行していたが、これに対抗してHISを上回る買付価格(1株4000円)を提示し、参戦した。ユニゾ経営陣が賛同する第三者による友好的TOBで、いわゆる“ホワイトナイト白馬の騎士)”の登場となった。

HISはTOBを通じて所有割合を5%弱から45%に引き上げることを計画したが、TOBは最終的に不調に終わった。フォートレスはユニゾ株の全株式の買い付け(下限は66.7%)を目指しているが、HISの場合と同様に、ユニゾ株が買付価格を上回る高値でこのまま推移すれば、10月1日の期限までに予定数の買い付けが行えず、TOB成立が危ぶまれる。

DICはBASF傘下の顔料事業に関する18社の株式を約1162億円で取得する。買収する当該事業の売上規模は約1170億円(2018年12月期)。DICはインキ世界首位だが、印刷用途での需要が落ち込んでおり、市況に左右されにくい高付加価値領域(ディスプレー、化粧品、自動車など)の化学品へのシフトを重点課題としている。

BASFの顔料事業との製品の相互補完性が高いと判断し、大型M&Aを決断した。2020年末までの買収完了を見込む。

約1162億円を投じて独BASFの顔料事業を買収するDIC本社(東京・日本橋)