東証適時開示ベースで、7月のM&Aは67件となり、前年同月を6件上回った。月別では3月82件、2月77件に次ぐ今年3番目(4月と同数)。前月(6月)比では20件増えた。上期(1~6月)のM&Aは前年同期比67件増の394件と2009年以来10年ぶりの高水準だったが、下期(7~12月)も好調に滑り出した形だ。

日本企業によるM&Aで今年最大となったのが豪ビール大手のカールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)を約1兆2000億円で買収するアサヒグループホールディングス(HD)の案件。これに続くのは大阪ガスで、約650億円を投じて米国のシェールガス開発会社を日本企業として初めて買収する。

豪ビール大手を1.2兆円で買収するアサヒグループホールディングスの本社(東京・浅草)

大阪ガス、米シェールガス開発のサビン買収

全上場企業に義務付けられた東証適時開示のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

7月のM&Aの総開示件数67件の内訳は買収57件、売却10件(買収側と売却側の双方が開示したケースは買収側でカウント)。このうち、海外案件は買収13件、売却4件だった。ワコールホールディングスが米国の女性用インナーウエア会社Intimates Online(ニューヨーク)を約92億円で傘下に収める案件を含めて、買収金額が100億円クラス以上は4件あったが、いずれも海外案件が占めた。

アサヒグループHDが約1兆2000億円で買収するCUBは、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)の子会社。CUBは「Carlton」「Great Northern」などのブランドで知られ、売上規模は約1800億円。アサヒはCUBの販路を生かし、豪州で「スーパードライ」など主力商品の売り上げ拡大を目指す。

日本企業による酒類事業の買収としては、2014年にサントリーホールディングスが米ウイスキー大手のビームを約1兆6000億円で傘下に収めたのに次ぐ規模となる。

大阪ガスはシェールガス開発を手がける米サビン・オイル&ガス・コーポレーション(テキサス州)を買収すると発表した。サビンはテキサス州東部に琵琶湖の1.5倍にあたる約1000平方キロメートルの鉱区を保有し、現在1200本の井戸からLNG(液化天然ガス)換算で年間約170トン相当のガスを生産している。

大阪ガスは2018年7月にサビンが持つ鉱区のガス田権益35%を取得したが、今回の買収で全鉱区を保有することになる。買収金額は600億円台半ばに達し、年内に取得完了を見込む。同社は米でシェールガスをLNG、発電事業に続く3本目の柱として育成する。

早稲田アカデミー、NYの学習塾を傘下に

海外M&Aを国別にみると、米国5件(うち1件は売却)、英国4件(同)で、両国で全体の半分を占めた。一方、中国関連はゼロだった。

米国では、パスコが航空測量・計測事業を手がける米子会社Keystone Aerial Surveys(ペンシルベニア州)を約32億円で現地企業に売却することを決めた。7月の売却案件では最大。パスコは2011年に子会社化したが、異業種からの参入増による市場再編、外資規制強化の見通しなどを踏まえ、経営から手を引くことにしたという。

早稲田アカデミーはニューヨーク在住の日本人子女を対象に学習塾を経営するSHINKENSHA U.S.A.(ニューヨーク)を子会社化した。帰国生入試の分野で業容拡大を狙う。

米国事業を加速へ、大型買収を決めた大阪ガスの本社(大阪市)