コロナ・ショックがM&A市場に波及している。4月前半(1~15日)のM&Aは適時開示ベースで18件と、前年4月前半(35件)に比べてほぼ半減した。このうち海外案件も3件と低調。2018年4月前半も15件にとどまり、過去10年で最も少なかったが、最終的には後半持ち直し、月間51件まで件数を伸ばした。

新型コロナウイルスの感染拡大で企業活動が停滞する中、M&A市場には仕掛かり案件の進捗遅れに加え、新規案件の先送りなど慎重姿勢が急速に強まっており、当面、ペースダウンが避けられない情勢だ。

4月前半、この10年間の最低レベル

上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、経営権の異動を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。4月前半の18件のM&Aを開示日別にみると、1日6件、10日5件と集中した日があった半面、件数ゼロの日も3日あった。

18件中、大半は小規模な案件で、取得金額を公表したのは2件のみ。金額トップはフランスの炭素黒鉛製品メーカー、Carbone Savoieを約197億円で買収する東海カーボンの案件。同社はここ数年、欧米でM&Aを活発に展開し、昨夏には約1000億円を投じてドイツの炭素黒鉛製品大手COBEXを傘下に収めた。

もう一件はSHIFTがパソコンのリユース(買い取り、データ消去など)事業を手がけるエスエヌシー(大阪市)を9億円強で子会社化する案件。SHIFTにとって早くも今年3件目のM&Aとなる。

4月は年度始めということから、例年、M&Aの出足がやや鈍いのが実情。過去10年で最低だったのは2011年4月の43件で、前月に起きた東日本大震災の影響が出たとみられる。2014年も40件台だったが、そのほかの年は50~60件台、最高が2017年の71件だった。

15日までの4月前半だけに限ると、2018年が15件で今年の18件より3件少ない。ただ、営業日ベースでは今年の方(11営業日)が1日多く、同じ営業日数で比べるとほぼ並び(2018年17件)、この10年で最低レベルだ。  

失速に向かうかどうかの岐路に

2020年1~3月期のM&Aは前年同期比10件増の232件と2年連続で増加し、2009年(252件)以来の高水準となった。新型コロナウイルスの影響が危惧された3月単月も86件と09年(88件)以来の水準を記録した。

ただ、水面下ではM&Aの仕掛かり案件が滞ったり、新規規案件の着手を見送ったりするなど、月を追ってコロナ・ショックの影響が広がっていた。海外案件は早々に事実上ストップ状態となっている。

本来であれば、大型連休を控え、後半に追い込みをかけるのが4月のパターン。コロナの衝撃が世界に広がる中、国内M&A市場はこのまま失速となるのか、それとも持ちこたえるのか、今まさに岐路に立っている。

◎M&A件数の月別推移(適時開示ベース)


2020年2019年2018年
1月69件62件52件
2月77件78件60件
3月86件82件60件
4月67件51件
1~15日18件35件15件

文:M&A Online編集部