東証適時開示ベースで、2019年10月のM&Aは前年同月比7件減の74件となり、18年4月以来1年半ぶりに3カ月連続で前年を下回った。単月ベースでは前月比で5件増え、3月(82件)、2月(77件)に続く今年3番目でなお高水準を維持している。今年は残すところ2カ月だが、このままで推移すれば、2009年以来10年ぶりに年間800件台に乗せる公算が大きい。

大日本住友製薬が欧州の創薬ベンチャー「ロイバント・サイエンシズ」傘下の新薬開発子会社5社を約2200億円で買収したのを筆頭に、日本製紙が豪州、資生堂が米国で1000億円級の大型M&Aを決めた。

国内では、日立製作所とホンダがそれぞれの傘下の自動車部品メーカー4社(うち3社が上場)を合併させることを発表した。「CASE」と呼ばれる自動運転や電気自動車など次世代技術開発が激化する中、規模拡大で競争力向上を目指す動きとして注目される。

大日本住友、欧州創薬ベンチャー傘下の5子会社を2200億円で買収

全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

10月のM&Aの総開示件数74件の内訳は買収64件、売却10件(買収側と売却側の双方が開示したケースは買収側でカウント)。このうち海外案件は19件(買収17件、売却2件)だった。海外案件を国・地域別にみると、米4件、豪3件(売却1件含む)、台湾(売却1件を含む)、シンガポール、ベトナム各2件など。

総件数は8月、9月と2カ月連続で前年を下回ったことから、活況が続くM&A市場に潮目の変化が出てきたのかどうかを占う意味で、第4四半期(10~12月)のスタート月の動向が注視されていたが、引き続き高水準にあることが確認された形だ。1~10月の累計では676件と前年同期46件上回っている。

金額トップは大日本住友製薬の案件。英国とスイスに本社を置く創薬ベンチャー、ロイバントとの戦略提携に伴い、ロイバント本体に10%出資(約1100億円)するとともに、同社の新薬開発子会社5社を約2200億円で買収する。大日本住友が取り組むM&Aとして過去最大。2020年3月までに買収完了を目指す。

大日本住友製薬の東京本社(東京・京橋)

日本製紙は豪の包装資材大手オローラから板紙パッケージ(段ボール)部門を買収することを決めた。買収金額は約1243億円で、同社として最大案件となる。成長が続くオセアニア地域で段ボール古紙の回収から、段ボール原紙、段ボール箱の製造まで一貫体制を整える。

アサヒHD、マッサージチェア最大手の子会社「フジ医療器」を台湾社に譲渡

資生堂は米スキンケア化粧品のドランク・エレファントを約910億円で買収すると発表した。ドランクは2012年に創業した新興の化粧品メーカーで、2019年12月期の売上高は初めて100億円を突破する見通し。米国で若年層の支持を広げる新ブランドを取り込み、主力のスキンケア事業を世界規模で拡大する。

アサヒホールディングス(HD)は子会社のマッサージチェア最大手、フジ医療器(大阪市)の株式60%を台湾のフィットネス機器メーカーであるジョンソンヘルステックに譲渡する。譲渡価額は67億円。アサヒHDは2014年にフジ医療器を傘下に収めたが、米国や中国など海外市場の本格開拓を目的に同社を合弁運営に切り替える。譲渡先のジョンソンは全世界に30の販売子会社、300強の直営店を持つ。