新規上場(IPO)した企業の5社に1社が上場して数カ月から1年以内にM&Aに取り組んでいることが分かった。

18年に98社上場、うち19社がM&Aを実施

M&A Onlineが適時開示情報をもとに調べたところ、2018年中に新規上場した98社のうち、今年6月末までにM&Aを公表した企業は19社に上り、全社が上場時点から1年以内にM&Aを手がけていた。

上場によって獲得した資金を活用し、事業拡大や新分野進出など成長戦略の要としてM&Aを活発化させていることがうかがえる。

なかでも、有料老人ホームなど介護事業を展開する揚工舎(TOKYO)はこの間、子会社化や事業取得で4件の買収を決めた。昨年9月に13年ぶりに再上場したワールド(東証一部)は米国と国内で2件の買収を相次いで手がけた。

2018年の新規上場数は98社。市場別の内訳は東証一部7社、東証二部5社、マザーズ63社、ジャスダック14社、TOKYO PRO Market8社、アンビシャス(札幌)1社。

これらのうち今年6月までにM&Aを公表した企業は19社を数えた。東証一部では新規上場7社中、5社がM&Aを手がけた。また、マザーズでは63社中、9社がM&Aに取り組んだ(その後に中止1件を含む)。

揚工舎は4件、共和コーポレーションは3件

件数4件でトップだった揚工舎は昨年4月末に上場し、2カ月後の6月に人材サービスのピィーアンドエィ(東京)の子会社化を公表した。介護人材の紹介・派遣事業の業容拡大につなげるのが狙い。このほかに同社は今年5月までに人材サービスで1件、有料老人ホームで2件の買収を矢継ぎ早に決めた。

ゲームセンター、バッティングセンターなどのアミューズメント施設を展開する共和コーポレーション(東証二部)は埼玉県や千葉県、都内で3件を買収案件に取り組んだ。長野県を中心に信越地区を地盤とするが、M&Aを弾みに首都圏での事業を加速する。

ユニコーン銘柄として注目されたフリマアプリ最大手、メルカリは昨年6月にマザーズに上場後、自動車関連SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を提供するマイケル(東京)の買収を手がけた。昨年12月に東証一部に大型上場したソフトバンクは今年5月、ポータルサイト国内最大手のヤフーの子会社化を発表した。その買収金額は4565億円。

買収で基本合意しながら、中止に追い込まれた案件も1件あった。ラーメン大手のギフト(マザーズ)は上場翌月の昨年11月、横浜家系ラーメン「せい家」を展開するトップアンドフレーバー(東京)の子会社化を発表。ところが、買収価格など詰めの交渉で折り合わず、今年1月に基本合意を解消した。

そのギフトは下期に入った7月16日、ラーメン店9店舗を展開するラーメン天華(栃木県那須町)、中華麺・餃子製造のケイアイケイフーズ(栃木県那須塩原市)の2社の子会社化を発表。M&A意欲が健在なことを印象づけた。

今年の上場では識学、フレアスがすでに実績

2019年上期(1~6月)の新規上場は41社。このうち人材研修の識学(マザーズ、2月上場)とマッサージ事業のフレアス(同、3月上場)の2社は早くもM&Aに取り組んだ。識学はM&Aコンサルティング関連事業、フレアスは訪問鍼灸事業を傘下に収めた。

上期に新規上場した企業によるM&Aについても下期以降、具体化への動きが勢いを増すことが予想される。

◎2018年に新規上場した企業のうち、M&Aを公表した企業

上場月 社名 主な事業
3月 共和コーポレーション アミューズメント施設運営
SOU ブランド品リユース
RPAホールディングス ロボットアウトソーシング
アジャイルメディア・ネットワーク マーケティング事業
4月 ヒューマン・アソシエイツ・HDメンタルヘルスケア
揚工舎 介護事業
ベストワンドットコム クルーズ予約サイト運営
5月 ひかりホールディングス 建設業
6月 メルカリ フリマアプリ
国際紙パルプ商事 紙専門商社
スプリックス 個別指導塾「森塾」運営
7月 GA technologies 不動産業
9月 ナルミヤ・インターナショナル 子供服の企画・販売
香陵住販 不動産
SBIインシュアランスグループ 保険業
ワールド アパレル
10月 プリントネット デジタル印刷
ギフト(買収公表後に中止)ラーメン店事業
12月 ソフトバンク 通信

※HDはホールディングスの略

文:M&A Online編集部