M&A onlineが上場企業の適時開示情報を基に構築したM&Aデータベースで集計したところ、2018年度(2018年4月-2019年3月)のM&Aは830件、取引金額12兆7069億円となり、件数、金額とも2009年度以降の10年間で最も高い数字となった。

取引金額が1000億円を超える大型のM&Aは、この10年で最高だった2017年度と並ぶ18件で、このうち17件はクロスボーダー(国際間案件)。2018年のM&A830件中クロスボーダーは185件(構成比22.3%)に達し、日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が浮かび上がった。

武田薬品のシャイアー買収は日本企業最高金額

取引金額トップは武田薬品工業によるアイルランドの製薬会社シャイアーの買収案件。取引金額は6兆7900億円で、これは日本企業が行ったM&A として過去最高となった。武田薬品は製品化に近い新規候補物質の保有数が少ない。これに対しシャイアーは開発の中期や後期段階の新規候補物質を多く持つ。このため巨費を投じるM&Aに踏み切ったわけだが、武田薬品は買収に伴って約2.3%の金利で3兆円を超える借金を抱えることなった。

武田薬品に次ぐのはルネサスエレクトロニクスによる米半導体メーカー・インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収案件。取引金額は日本の半導体メーカーとして過去最高となる7330億円だった。電気自動車などの車載向けの半導体需要の拡大が見込まれており、ルネサスエレクトロニクスはIDTの買収によってこの分野の開発力強化や製品の相互補完を目指す。

取引金額3位は日立製作所によるスイスABBの送配電事業の買収案件で、取引金額は7140億円。日立製作所は2020年前半をめどに分社されるABBの送配電事業会社の株式80.1%を取得し、その後完全子会社化する。再生可能エネルギー市場の拡大や新興国での電力網整備に伴い、送配電設備に対する需要増加が見込まれており、日立製作所は今回の買収により送配電事業で世界トップを目指す。

件数トップはソフィアホールディングス

件数で最も多かったのはソフィアホールディングス(HD)の13件で、このうち12件は調剤薬局を買収する案件だった。ソフィアHDは1975年にソフィアシステムズとして設立。システムハウスの草分け企業として名をはせた歴史を持つ。近年M&Aをテコに経営の軸足を健康医療事業に移しつつある。

また、ソフィアHDは1月19日に発表した調剤薬局エイエムファーマ(山口県宇部市)の買収を1週間後の1月26日に撤回した。売り手側に重大な表明保証違反に該当する事項が確認されたのが理由という。

件数の2位は電通の8件で、このうち7件は海外企業の買収だった。対象企業の国籍は米国、英国、ベトナム、チリ、ノルウェーの5カ国。

3位はトライアンフコーポレーションの6件で、システム開発会社や婦人靴メーカー、食品卸業者、Webコンテンツ開発会社、宿泊施設運営会社、自動車関連イベント会社と買収先企業の業種は多岐にわたった。

2018年度(2018年4月1日-2019年3月31日)の取引金額上位10社

順位案件金額(億円)
1 武田薬品工業、アイルランドの大手製薬会社シャイアーを買収 67,900
2 ルネサスエレクトロニクス、米半導体メーカーIDTを買収 7,330
3 日立製作所、スイスABBの送配電事業を買収 7,140
4 大陽日酸、米プラクスエアの欧州事業を買収 6,438
5 三菱UFJ信託銀行、豪の資産運用会社CFSGAMを買収 3,280
6 米J&J、シー ズ・ホールディングスをTOBで子会社化 2,298
7 大正製薬ホールディングス、一般医薬品会社の仏UPSAを買収 1,823
8 東京海上ホールディングス、欧の再保険子会社2社を売却 1,685
9 JT、バングラデシュ2位のたばこ事業を買収 1,645
10 仏フォルシア、日立傘下のクラリオンをTOBで子会社化 1,409


データ・文:M&A online編集部