東証適時開示ベースで、2019年2月のM&Aは77件と前年同月(60件)を約3割上回った。前月比では15件増だった。MBOで株式の非公開化を目指す動きも2件あった。

海外案件は13件と前年並みだったのに対し、国内案件は高水準に推移し、調剤薬局や医療機器販売、介護用品関連で動きが目立った。取引金額が1000億円を超える大型案件はなかったものの、日清製粉グループ本社による豪州の製粉会社買収(470億円)を筆頭に100億円以上の案件は6件あった。

日清製粉グループ、豪の製粉大手を470億円で買収

東証の適時開示は上場企業に義務付けられた「重要な会社情報の開示」のこと。このうち、経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)についてM&A Online編集部が集計した。

2月のM&Aの開示件数77件の内訳は買収70件、売却7件(買収側と売却側の双方が開示したケースは買収側でカウント)。

このうち海外M&Aは13件で、日本企業による海外企業買収が11件あったほか、海外子会社の売却が2件あった。新田ゼラチンは香港にある中間持ち株会社、ワールドは韓国の衣料品生産会社を現地企業に売却を決めた。

日清製粉グループ本社(東京・神田錦町)

買収金額首位は日清製粉グループ本社。豪州の製粉会社Allied Pinnacle(アライド・ピナクル)を約470億円(アドバイザリー費用11億円を含む)で買収すると発表した。同国の投資ファンドなどから全株式を取得し、4月1日に子会社化する。アライド・ピナクルは豪州の小麦粉市場でトップシェアを持ち、プレミックス(調整粉)やベーカリー関連原材料でも高い競争力を持つ。直近売上高は約470億円。

日清製粉グループは2012年に米国、13年にニュージーランド、18年にタイで現地の製粉事業を傘下に収め、M&Aをてこに海外展開を加速している。

米国企業の買収が4件

対象国で比較的目立ったのが米国で、4件の買収案件があった。

栗田工業は米国の水処理薬品・装置メーカーGlobal Water Services Holding(デラウェア州)を301億円を投じて子会社化する。純水供給や排水回収など独自性の強いサービスを米市場に投入する。買収後、米での売上規模は約4倍に拡大するという。また、タダノはテレックスコーポレーション(コネチカット州)がドイツで展開する「Demag(デマグ)」ブランドのクレーン事業を236億円で取得することを決めた。

アサヒホールディングスは会社更生手続き中の精錬メーカーのリパブリック・メタルズ(フロリダ州)の資産を28億円で買収。ヒビノはイベント用照明・音響サービスを展開するTLS(ミシガン州)を約4億8000万円で傘下に収めた。

アジアに目を向けると、大正製薬ホールディングスがベトナムの医薬品会社、エン・ジャパンがインドのIT人材派遣会社、リネットジャパングループがカンボジアのマイクロ(少額)保険会社を買収する。大正製薬は160億円を投じる。

◎M&A:金額上位案件(10億円以上)

<買収案件>
1日清製粉グループ本社、豪州の製粉会社アライド・ピナクルを子会社化(470億円)
2栗田工業、水処理薬品・装置メーカーの米Global Water Services Holdingを子会社化(301億円)
3エヌ・デーソフトウェア、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズと組んでMBO実施(299億円)
4タダノ、米テレックスコーポレーション傘下の「Demag」ブランドのクレーン事業を買収(236億円)
5大正製薬ホールディングス、ベトナムの医薬品会社Duoc Hau Giang Pharmaceuticalを子会社化(160億円)
6大建工業、伊藤忠商事傘下のカナダ・米の木質系建材会社2社を子会社化(130億円)
7ヤマハ発動機、半導体用ボンディング装置メーカの新川を子会社化(100億円)
8ヤマエ久野、住宅資材製造大手のハイビック(栃木県小山市)を傘下に持つ投資会社HVCホールディングス(東京都千代田区)を子会社化(85.5億円)
9エムスリー、医療分野向けデータベース事業の日本アルトマーク(東京都港区)を子会社化(66億円)
10NTTデータ、デジタルマーケティング支援のネットイヤーグループを子会社化(35.6億円)
11アサヒホールディングス、金銀精錬の米リパブリック・メタルズの資産を買収(28億円)
12フジオフードシステム、ステーキレストラン8店運営のグレートイースタン(沖縄県沖縄市)を子会社化(27.5億円)
13エン・ジャパン、IT人材派遣のインドFuture Focus Infotechを子会社化(13.5億円)
14コンドーテック、架払工事のヒロセ興産(東京都品川区)を子会社化(10.1億円)
15KeyHolder、テレビ番組制作のフーリンラージ(東京都渋谷区)を子会社化(10億円)
<売却案件>
1FRACTALE、不動産子会社の池田不動産(東京都大田区)を大阪木材相互市場(大阪市)に譲渡(17.3億円)