東証適時開示ベースで、2019年上期(1~6月)の企業別のM&A(グループ内再編は除く)件数を集計したところ、ソフトウエアのテスト・品質保証事業を主力とするSHIFTが4件で最多だった。ソフィアホールディングス(HD)も4件(いずれも調剤薬局)で同数だが、その後に子会社化を中止した案件を1件含む。

3件のM&Aを手がけたのはテレビCM制作最大手のAOI TYO Holdings、企業向けデジタルマーケティング事業のOrchestra Holdings、総合アパレルのワールドなど10社を数える。2件だと38社に上った。

50社が複数案件を手がける

上期のM&Aは394件と前年同期を20.5%上回り、2009年以来の高水準となった。企業数にして330社で、このうち1社で複数のM&Aに取り組んだのは50社(114件)だった。

企業別でM&A件数が最も多かったSHIFTは、Webサイト企画のさうなし(東京都渋谷区)、Webマーケティングのアッション(東京都目黒区)、システムコンサルティングのシステムアイ(横浜市)、ソーシャルゲーム運営のSHIFT PLUS(高知市)の4社の子会社化を公表した。これらの案件はいずれも1~3月に集中する。

SHIFTは2005年に設立し、14年に東証マザーズに上場した。主力のソフトウエアのテスト・品質保証事業がゲーム関連や金融関連向けを中心に好調に推移し、19年8月期は売上高52%増の195億円、営業利益25%増の15億円と大幅増収増益を見込む。同社はM&Aについて、15年1件、16年2件、18年1件を手がけてきたが、好調な業績を背景にここへきて一気にアクセルを踏み込んだ形だ。

ソフィアHD、今年もハイペース

ソフィアHDは泉州薬局(大阪府岸和田市)、コンビメディカル(岐阜県各務原市)、アルファメディックス(神戸市)の調剤薬局3社の子会社化を決めた。このほか、山口県内の調剤薬局1社の子会社化を1月に公表したが、相手側に表明保証違反があったとして買収を中止した。

ソフィアHDは2018年に10件のM&A(すべて調剤薬局)を公表し、企業別で件数トップだった。同社は元々、IP電話事業を主力とするが、近年、M&Aをテコに経営の軸足を調剤薬局事業に移しつつある。7月早々には、都内で調剤薬局3店舗を経営する盛徳商事(東京都世田谷区)の子会社化を公表しており、下期もM&Aの活発化が予想される。

3件のM&A公表は10社

上期に3件のM&Aを公表したのは10社(表を参照)。事業の選択と集中の手段としてM&Aの活用が広がっていることがうかがえる。

AOI  TYO Holdingsはオフィス・ショールームなどの空間プロデュース会社、マレーシアの広告会社を傘下に収める一方、写真スタジオを運営する子会社を売却した。同様に、ワールドも2社を買収し、1社を売却した。ネット利用で紳士服企画・デザインを手がける米国企業、神戸の婦人靴会社を子会社化し、他方、衣料品生産の韓国子会社を手放した。

2件のM&Aに取り組んだのは38社。このうち、DeNA、はるやまホールディングが公表したのはいずれも売却案件。

DeNAは本体で手がけていたSNS「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」事業と、電子商取引の収納代行を行う子会社の売却を決めた。はるやまHDは衣料品販売子会社と女性用カジュアル衣料事業を売却した。

◎企業別:M&A件数

件数企業名
4件SHIFT、ソフィアホールディングス(中止案件1件を含む)
3件AOI TYO Holdings、EMシステムズ、Orchestra Holdings、エン・ジャパン、電通
トライアンフコーポレーション、日本電産、パートナーエージェント、ヒビノ、ワールド
2件DeNA、FHTホールディングス、KeyHolder、SFPホールディングス、SYSホールディングス
TOKAIホールディングス、TSIホールディングス、アジア開発キャピタル、インパクトHD
ウィルグループ、ウェルス・マネジメント、オートバックスセブン、オプティマグループ
クリエイト・レストランツHD、栗田工業、ケイアイスター不動産、五洋インテックス、幸和製作所
ジャックス、新東京グループ、総合メディカルHD、第一交通産業、大興電子通信、ツルハHD、トーカイ
長野計器、日清製粉グループ本社、日神不動産、日本創発グループ、日本ペイントHD、はるやまHD
ヒト・コミュニケーションズ、ミクシィ、メディアスHD、夢真HD、ヨシムラ・フードHD、リログループ、ワキタ

※HDはホールディングスの略

文:M&A online編集部