激しいインフレに苦しむ南米のベネズエラが、国家として初めて発行した仮想通貨「ペトロ」を活用したインフレ対策の実験に乗り出した。ベネズエラは2018年8月20日に法定通貨のボリバル・フエルテから新法定通貨ボリバル・ソベラノに移行し、通貨単位を10万分の1に切り下げるデノミを実施した。

原油を価値の担保としたペトロは、1ペトロ60ドルに固定

同時に2018年初めに発行したペトロと新法定通貨ボリバル・ソベラノとの交換比率を固定した。ペトロはベネズエラ国内に埋蔵している原油を価値の担保としており、1ペトロは60ドルとし、3600ボリバル・ソベラノで1ペトロを購入できるようにした。

価格を固定したペトロを新法定通貨ボリバル・ソベラノと固定比率で交換できるようにすることで、新法定通貨ボリバル・ソベラノを安定化し、インフレを抑える狙いがある。

今回の措置は法定通貨に仮想通貨を連動させるという歴史的な取り組みで、仮想通貨が秘める力を感じさせられる。この手法でインフレが抑えられれば、仮想通貨に否定的な国々でも見直しの機運が高まることが予想される。

一方で、ベネズエラの取り組みに否定的な報道も数多くある。すでに米国がベネズエラの仮想通貨ペトロの取引を禁じていることが伝えられており、ペトロが詐欺であるとのコメントもネット上には数多くある。

ペトロで集めた資金はどこに行くのか

そもそも仮想通貨の発行は資金調達の一つの手法であり、ICO(イニシャル・コイン・オファリング=新規仮想通貨公開)によって新しい仮想通貨が発行される。

発行に当たっては、仮想通貨発行によって得られた資金で、どのような事業を行うのかを示した事業計画書(ホワイトペーパー)を公開し、これに賛同する投資家が出資することになる。

このホワイトペーパーで虚偽の説明をして、出資金をだまし取る詐欺が横行しており、各国が警告を発している。米国では米国証券取引委員会(SEC)が2018年8月14日に、カリフォルニア州での石油掘削事業で不正なICOを行ったとして、当該企業の経営者を処分した。

ではベネズエラではペトロで集めた資金をどのような事業に使おうとしているのか。