自社不動産売却ブームから透けて見える日本企業の「行動変容」

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迫る「地価下落」を前に、大企業による不動産の売却ラッシュか?

大企業の不動産売却が進んでいる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による業績不振によりやむなく手放すケースが目立つが、一方で業績とは関係なく不動産を売却する動きも出てきた。大企業の自社不動産に対する「行動変容」が起こりつつあるようだ。

業績が悪くなくても本社売却の動き

2021年1月、国内最大手の広告代理店である電通グループ<4324>が東京都港区東新橋の本社ビルを売却することが明らかになった。約3000億円で売却し、低迷する広告事業や大幅に縮小しそうな東京五輪関連事業、のれん代の減損処理などで2020年12月期に計上した同社としては過去最悪となる1595億円もの最終赤字の穴埋めをする。

音楽・映像エンターテインメント事業を手掛けるエイベックス<7860>も、東京都港区南青山の本社ビルを約700億円で売却。同社もコロナ禍によるライブやイベント自粛で、2020年4〜12月の9カ月間で約43億円の純損失を計上した。

その他にもコロナ禍に伴う外出や旅行の自粛で乗客が激減したJR東日本<9020>やJR西日本<9021>、JR九州<9142>、ANAホールディングス<9202>などがオフィスビルやホテル、研修施設などを売却するなど、業績立て直しのための不動産売却が加速している。

一方で、横浜ゴム<5101>やリクルートホールディングス<6098>は業績が悪くないにもかかわらず、本社売却に踏み込んだ。こうした大企業の自社不動産売却の背景には地価が下落する前に高値で売り抜けたいという思惑がうかがえる。

不動産業界では「2020年問題」が取り沙汰されていた。これは東京オリンピック・パラリンピックの終了で、過剰に建設されたホテルやオフィスビル、マンションの需要が落ち込み、地価下落を招くとの予測だ。

実際には東京五輪の開催が1年延期となり、「問題」が露見するのは遅くとも閉会後の今年秋、早ければ中止が決まった直後となる。本格的に地価が下落する前に不動産売却を完了したいとの思惑があったとしても不思議ではない。

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