「日本旅行」「HIS」「JTB」が相次いで計画を変更 赤字脱却に全力

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写真はイメージです

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、大打撃を被っている旅行会社が相次いで計画の変更に乗り出している。

日本旅行(東京都中央区)は2021年3月18日にウィズコロナでの生き残りとアフターコロナでの持続的成長を目標に中期経営計画を見直し、大幅な店舗削減策などを打ち出した。

エイチ・アイ・エス(HIS)<9603>は2021年11月1日に予定していた持ち株会社体制への移行を中止。JTB(東京都品川区)も市場環境の急激な変化に対応するため、2021年4月に組織を再編する。

政府は首都圏の1都3県に発出している緊急事態宣言を、予定通り3月21日で解除することを決めた。解除後は旅行需要の回復が見込まれるものの、コロナ以前の状態には戻らないとの見通しが大勢を占めており、旅行会社の生き残りをかけた模索はこの先もさらに続きそうだ。

2年間で店舗数を半減

日本旅行は2025年12月期を最終年とする中期経営計画を見直し、旅行代理店(手配)業から、「顧客と地域のソリューション企業」への転換を目指す方針を打ち出した。

この中で、中期経営計画初年度の2021年12月期と翌年の2022年12月期を構造改革期と位置づけ早期の黒字化に取り組む計画で、2020年12月期に194店だった店舗を、2022年12月期には約90店に削減し、人員についても採用の見送りやグループ外出向などにより2022年12月期には2019年12月期に比べ3割削減する。

同社の2020年12月期の売上高は前年度比56.7%減の237億800万円で、営業損益は116億2100万円、経常損益は93億6200万円、当期損益は127億9100万円のいずれも赤字に転落した。中期経営計画では2022年12月期に黒字転換するのが、大きな目標となる。

持ち株会社移行を中止

HISは2019年12月に持ち株会社体制への移行を決め、2021年11月に実施に移すと2020年6月に発表していた。

その後コロナ禍の影響が拡大し、2021年3月15日に発表した2021年10月期第1四半期決算で110億円を超える営業赤字に陥ったため、いち早く業績を回復させるためには、現行の組織を維持することが必要と判断し、同日に持ち株会社体制への移行の中止を公表した。

同社では持ち株会社体制への移行は、将来的に必要な施策としており、コロナ禍の影響が薄らぎ業績が回復した時点で、改めて持ち株会社体制への移行を進めるとしている。

HISの2021年10月期第1四半期の売上高は前年同期比80.5%減の388億6000万円で、営業損益は116億7700万円、経常損益は117億9800万円、当期損益は79億8100万円のいずれも赤字だった。

4月から新体制をスタート

JTBはスピーディーな意思決定などを目的に、2018年4月に個人事業本部、法人事業本部、グローバル事業本部の三つのビジネスユニットに組織を変更していたが、変化に対応できる新たなグループ経営体制を構築するため、2021年4月にツーリズム事業本部、地域ソリューション事業部、ビジネスソリューション事業本部、グローバル統括本部などに再編する。

同社は2020年10月に中期経営計画を策定。現在の厳しい経営状況を克服し、これまでにないスピードで再び成長軌道を回復することを目指すとしており、今回の組織再編はこの取り組みの一環となる。

JTBの2021年3月期第2四半期の売上高は前年同期比81.1%減の1298億3700万円で、営業損益は710億700万円、経常損益は580億300万円、当期損益は781億7200万円のいずれも赤字だった。

【JTB、HIS、日本旅行の業績推移】単位:億円

JTB HIS 日本旅行
決算 2021年3月期第2四半期 2021年10月期第1四半期 2020年12月期
売上高 1298.37 388.6 237.08
営業損益 △710.07 △116.77 △116.21
経常損益 △580.03 △117.98 △93.62
当期損益 △781.72 △79.81 △127.91

文:M&A Online編集部

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