「ソニー」から「ソニーグループ」へ、変わるのは社名だけじゃない

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「ソニー」から「ソニーグループ」へ。2021年4月1日に社名変更するソニー<6758>。だが、社名に「グループ」がつくだけではない。この社名変更にはソニーが創業以来のDNAを事実上「放棄」する意味が込められている。

祖業エレ事業の「優先順位」は6位に後退

「放棄」するのは祖業であるエレクトロニクス事業。同事業から撤退するわけではないが、社名変更は「もはやエレクトロニクスの会社ではない」との強い意思表示だ。これまでソニー本体が担っていたグループ本社機能と、エレクトロニクス事業の本社間接機能を分離。事業ポートフォリオ管理や人材・技術への投資などのグループ本社機能を「ソニーグループ」に再編する。

一方「ソニー」の社名は消えるわけではない。現ソニーのエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業が、傘下のソニーエレクトロニクス、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ、ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ、ソニーモバイルコミュニケーションズを統合*し、新「ソニー」に社名変更する。ソニーグループの下、「ソニー」はエレクトロニクス事業を手掛ける子会社になるわけだ。

*形式上の存続会社はソニーモバイルコミュニケーションズだが、実質的にはソニーエレクトロニクスが新「ソニー」の経営を主導する。

ソニーのエレクトロニクス事業は「中核事業」から「柱の一つ」に(同社経営方針説明会資料より)

「単に持ち株会社が誕生しただけじゃないか」と考えるのは早計だ。それを裏付けるのが2020年7月に完了した金融持ち株会社ソニーフィナンシャルホールディングスのTOB株式公開買い付け)による完全子会社化だ。TOB前に同社株65%を保有していたソニーが完全子会社化を図ったのは、残り35%分の利益を本体に取り込むため。

実はエレクトロニクスをはじめとする「ものづくり」の利益率は低下する一方だ。かつてソニーをベンチマークとしていた米アップルは「iPhone」や「iPad」「MacBook」などのメーカーではあるが、自社では生産拠点を持たないファブレス企業だ。さらにアップルはそうしたハードではなく、アプリやサービスなどのソフトでより高い利益を確保する体制へのシフトを進めている。

ソニーも同様の動きを目指す。社名変更を発表した2020年5月の「経営方針説明会」でのエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(エレクトロニクス)事業についての説明は、金融事業、ゲーム&ネットワークサービス(ゲーム)事業、音楽事業、映画事業、アニメ(音楽・映画事業の両方にかかわる)に次ぐ6番目だった。これが新生「ソニーグループ」におけるエレクトロニクス事業の優先順位なのだ。

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