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「1杯1万円」か「つけ麺アレンジ」か コラボ牛丼の実力は
WAGYUMAFIAは吉野家と協業し、1杯1万円のコラボ牛丼「吉野家×WAGYUMAFIA プレミアム牛丼」を販売する。つけ麺専門店三田製麺所と、養老乃瀧(東京都豊島区)も連携し、養老牛丼をつけ麺にアレンジした「養老牛つけ麺」の販売に乗り出した。コラボによる新規性や話題性の提供はコロナ禍対策の切り札になるか。
吉野家ホールディングス(HD)<9861>が2021年4月1日に、持ち帰りずしや回転寿司事業を手がける子会社の「京樽」を回転寿司最大手のスシローグローバルホールディングス<3563>に売却する。
2020年2月には「フォルクス」などのステーキレストランを運営する子会社の「アークミール(2019年2月期は9億3000万円の営業赤字)」を、焼肉レストランの安楽亭<7562>に売却しており、この1年ほどで主要子会社は牛丼の「吉野家」と、うどんの「はなまる」の2社に半減することになった。
2000年ごろから企業買収で業容を拡大してきた同社だが、コロナ禍で縮小均衡を余儀なくされた格好だ。身軽になる吉野家HDの収益構造を見てみると。
吉野家HDが2021年1月に発表した2021年2月期第3四半期決算によると、主力の「吉野家」が全売上高の65%ほどを占めており「はなまる」と「海外」が12%ほどを、「京樽」が11%ほど占めた。
セグメント損益は「吉野家」が27億円ほどの利益を生み出し「海外」もわずかながら3億円ほどの黒字を計上したが、「はなまる」は26億円ほどの赤字に、「京樽」も20億円ほどの赤字に陥った。
この結果、セグメント損益の合計は16億円ほどの赤字となったものの、ここから売却する「京樽」の赤字分を差し引くと、4億円近い黒字となる。
2021年2月期は「京樽」の数字がそのまま反映されるため、営業損益は87億円、経常損益は78億円、当期損益は90億円の赤字見込みだが、2022年2月期については「京樽」による赤字負担がなくなるため、業績の回復が見込めそうだ。
ただ2021年2月期第3四半期時点の「京樽」の売上高構成比(約11%)を、通期の売り上げ見通し(前年度比20.3%減の1723億円)に当てはめると、「京樽」の通期の売上高は190億円ほどになり、これを差し引くと吉野家HDの通期の売上高は1500億円台に縮小する計算になる。
牛丼店「すき家」を展開する業界最大手のゼンショーホールディングス(HD)<7550>は2021年3月期の売り上げ予想は6254億円で、前年度からはわずか0.8%の減収にとどまる見込みという。
吉野家HDによる新たな企業買収や、「吉野家」や「はなまる」での大幅な売り上げの伸びがなければ、ゼンショーHDとの売上格差は大きく拡大することになる。
吉野家HDは2000年に業績が悪化していた「京樽」をグループ化し、再建に取り組んできた。その後2006年には「はなまる」を、2008年には「アークミール」をそれぞれグループ化し、事業を拡充してきた。
コロナ禍で戦略の変更を迫られた吉野家HDだが、再びM&Aにカジを切る日はいつ訪れるだろうか。
【吉野家ホールディングスの2021年2月期第3四半期のセグメント業績】単位:億円
売上高 | セグメント損益 | 売上高構成比(%) | |
吉野家 | 788.33 | 26.98 | 64.6 |
はなまる | 152.44 | △26.22 | 12.5 |
京樽 | 136.59 | △20.19 | 11.2 |
海外 | 143.66 | 3.06 | 11.8 |
文:M&A Online編集部
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WAGYUMAFIAは吉野家と協業し、1杯1万円のコラボ牛丼「吉野家×WAGYUMAFIA プレミアム牛丼」を販売する。つけ麺専門店三田製麺所と、養老乃瀧(東京都豊島区)も連携し、養老牛丼をつけ麺にアレンジした「養老牛つけ麺」の販売に乗り出した。コラボによる新規性や話題性の提供はコロナ禍対策の切り札になるか。