シャープ「堺ディスプレイプロダクト」売れ残る−今後の業績に影響は?

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シャープ<6753>が2021年3月15日に予定していた堺ディスプレイプロダクト(SDP)株の売却を中止した。非開示の譲受人からの申し入れによるもので、シャープはSDPの株式のうち23.44%を引き続き保有し、同社は持分法適用会社のまま残る。

世界最先端の液晶工場だったが…

SDPの前身は2009年10月に完成した当時としては世界最大規模の液晶パネル工場で、シャープ「グリーンフロント堺」の主要プラントだった。第10世代マザーガラスに対応し、「120型8K4K超大型液晶ディスプレイ」も生産できる最先端の液晶工場だったが、韓国・中国メーカーの相次ぐ参入による価格破壊や有機ELディスプレーの台頭で液晶ディスプレー事業の採算が悪化。2016年にシャープが台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)に買収される原因の一つとなった。

シャープは「本株式売却が中止になったことによる2021年3月期の連結業績に与える影響はない」としている。すでに「時代遅れ」となった液晶ディスプレー工場だけに売値も非常に安かったと考えられるため、SDPの売却代金が入らなかったとしても収益に影響はないはずだ。

ただ、来期以降の不安は残る。SDPの2019年12月期の単体売上高は999億2000万円、当期純赤字は196億4200万円だった。家庭用テレビでも有機ELが標準的な存在になりつつあり、大画面の液晶ディスプレーの需要は減少する一方だ。

当然、将来性のない液晶メーカーであるSDPの「買い手」を見つけるのは、ますます難しくなるだろう。最終的には「0円譲渡」で縁を切るしかなさそうだ。とはいえ、今回も「0円」かそれに近い金額での譲渡だった可能性はある。

今回の株式譲渡が格安条件にもかかわらず「お断り」されていたとしたら、SDPから液晶ディスプレーの供給を受けているシャープは経営支援を続けるしかなくなる。そうなれば、いずれシャープの業績にも影響を与えかねない。シャープにとっては「頭痛の種」が残ることになった。

文:M&A Online編集部

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