「新型コロナ」新たな治療薬開発に取り組むオンコリスバイオファーマとは

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写真はイメージです

新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬候補が現れた。オンコリスバイオファーマ<4588>は2021年3月8日に、1日に1、2回の経口投与で強い抗ウイルス効果を示す可能性がある化合物を作り出したと発表した。

問題となる毒性兆候が認められないため今後、治験薬製造や安全性試験などを経て2022年に治験申請を行い、2023年までにPOC(製品的価値評価)取得を目指すという。

オンコリスバイオファーマとはどのような企業なのか。

8期連続の営業赤字

同社は現社長の浦田泰生氏が設立したウイルス技術を用いたがん治療薬の開発企業で、がんのウイルス療法テロメライシンや核酸系逆転写酵素阻害剤などを中心に研究、開発、ライセンス活動に取り組んでいる。

売り上げはライセンス収入や開発協力金、業務請負収入などが中心で、開発費が売り上げを大きく上回っており、2013年に東京証券取引所マザーズ市場に上場して以来8期連続で営業赤字となっている。

2021年12月期についても予想が難しいことから業績見通しには幅を持たせており、売上高は3億5000万円から7億円。営業損益、経常損益、当期損益はいずれも16億5000万円から20億円の赤字の見込みだ。

主力のテロメライシンは、がん細胞内で増殖するように遺伝子改変したアデノウイルス(空気中に存在する風邪の症状を引き起こすウイルス)で、増殖によってがん細胞を破壊する強い抗腫瘍活性を持つ。

正常な細胞の中ではテロメライシンの増殖能力が低く、安全性を保つことができると見られており、体の負担も少なく、これまで嘔吐、脱毛、造血器障害などの重篤な副作用は報告されていない。

変異型への活性も検討

新型コロナウイルス感染症治療薬については、2020年6月に鹿児島大学と特許譲受契約を結び、同治療薬の開発に着手した。当初、非臨床試験を進めていた化合物は経口吸収性が低かったため開発を終了し、同時に選別を進めていた化合物に高い活性が見つかったことから、新化合物に開発対象を絞込んで開発を進めることにしたという。

新化合物は武漢型の新型コロナウイルス感染症のほかに、英国型やブラジル型などの変異型コロナウイルスや、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)などの他のコロナウイルスに対する活性も合わせて検討する方針だ。

オンコリスバイオファーマの沿革とテロメライシンの開発経過
2004 オンコリスバイオファーマを設立
2006 テロメライシンの第1相臨床試験を米国で開始
2013 東京証券取引所マザーズ市場に上場
2014 テロメライシンの第1/2相臨床試験を台湾で開始
2017 テロメライシンの食道がんを対象とした第1相臨床試験を日本で開始
2017 テロメライシンのメラノーマ(悪性黒色腫)を対象とした第2相臨床試験を米国で開始
2019 中外製薬とテロメライシンの日本・台湾での独占的ライセンス契約、オプション権契約を締結
2019 テロメライシンの胃がんなどを中心とした第2相臨床試験を米国で開始
2020 中外製薬がテロメライシンの食道がんを対象にした第2相臨床試験を日本で開始
2020 鹿児島大学と特許譲受契約を締結し、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発を開始

文:M&A Online編集部

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