敵対的TOBも昨年来、増加傾向が鮮明になっている。2020年は年間5件と過去10年で最多となったが、今年すでに5件で前年に並んだ。今年の案件をみると、5件中3件に投資ファンドが絡んでいるほか、日本製鉄も敵対的買付者として名を連ねる。
◎2021年1~5月:敵対的TOB 一覧
開始月 | 公開買付者 | 対象企業 | 成否 |
1月 | 日本製鉄 | 東京製綱 | 成立 |
〃 | フリージア・マクロス | 日邦産業 | 継続中 |
2月 | シティインデックスイレブンス | 日本アジアグループ | 不成立 |
4月 | 米スターウッド・キャピタル・グループ | インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 | 継続中 |
〃 | アスリード・キャピタル(シンガポール) | 富士興産 | 継続中 |
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人に対する米投資会社スターウッド・キャピタル・グループのTOBは国内不動産投資信託(REIT)として初の敵対的案件に発展し、現在進行中。富士興産では経営陣とシンガポールのアスリード・キャピタルが激しく対立している。
また、日本アジアグループを巡っては旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)による敵対的TOBが3月に不成立(撤回)となったが、これで収まらず、4月末から再TOB(期限は6月16日)が行われている。ただ、再TOBについて日本アジアグループは意見を留保したまま。
投資家の佐々木ベジ氏が会長を務めるフリージア・マクロスによる日邦産業への敵対的TOBは1月末に始まり、延長を繰り返し、現在も継続中で、行方が混とんとしている。
文:M&A Online編集部
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