米アップルが2020年代半ばにも発売する予定の自動運転電気自動車(EV)「アップルカー」の委託生産先として、日本車メーカーを含む6社が打診されているとの報道が駆け巡った。アップルから打診を受けた日本車メーカーとはどこか?そして日本車メーカーによるアップルカー生産は実現するのか?
一時は韓国の現代自動車・起亜自動車連合がアップルカーの生産を受注すると報じられたが、「交渉は打ち切られた」との観測が出ている。アップルが情報漏えいで現代自に不信感を持ったとも伝えられるが、EVシフトを進める現代自グループとしては、「敵に塩を送る」アライアンス(協業)は組めなかったとの見方も根強い。
日本車メーカーも、おいそれとアップルカーの委託生産を受けられるわけではない。現在、国内で自動車を量産しているメーカーは12社ある。このうち4社はバス・トラックなどの商用車メーカーで、乗用車であるアップルカーの委託生産は無理だ。
残り8社のうちスズキ<7269>とダイハツは軽自動車メーカーで、「高価格帯の大型乗用車ではないか」と予想されているアップルカーの生産は荷が重いだろう。そうなると候補はトヨタ自動車<7203>、ホンダ<7267>、日産自動車<7201>、三菱自動車<7211>、マツダ<7261>、SUBARU<7270>の6社に絞り込まれる。
この6社のうちアップルからの打診を受け、委託生産を受け入れる日本車メーカーはどこか?真っ先に思い浮かぶのは2020年の自動車世界生産トップのトヨタだが、アップルカーの委託生産を受けることはないだろう。
トヨタはハイブリッド車(HV)でも世界最大手で、自社のビジネスモデルを脅かしかねないEVの量産に手は貸さない。同社はかつて米テスラと資本業務提携して米国でEVを共同生産したが、ほどなく手を引いている。
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